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わが社の「健康経営」 ライオン(2)職場の各フロアに「ハミガキ専用ブース」を設置 歯磨き習慣あっても欠かせないプロケア、全従業員の受診が目標

zakzak by夕刊フジ 2024年6月19日 15時30分

近年、口の中の歯周病菌が、糖尿病や認知症などの病気と関わることがわかってきた。そのため、日本政府は生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)の実施を目指している。業種に関わらず、定期健康診断に歯科健診が加わる可能性が高い。そんな制度とは無関係に、長年にわたり歯科健診と従業員の予防歯科習慣をサポートしているのがライオンだ。

【予防歯科プログラムは70年代】

ライオンといえば「ハミガキ」。1900年に粉ハミガキによる社会貢献活動(慈善券事業)を開始した歴史を持つ。以来、口腔衛生の普及活動に力を入れ、社内歯科健診やブラッシング指導なども70年代から行う。

「健康保険組合や、外郭団体のライオン歯科衛生研究所と協力・連携し、2002年から従業員の自己管理能力の向上を目指した『ALOHA』を展開しています。現在、『ALOHA第7期計画』を進めています」と、同社人材開発センター健康サポート室の五十嵐章紀室長は説明する。

「ALOHA」は、歯科健診や保健指導、社内でのキャンペーンや施策に合わせた情報発信、口腔状態ハイリスク者への受診勧奨など、さまざまな取り組みがある。その結果、昼食後の従業員のハミガキ実施率は78%、デンタルフロスの使用者率も78%と、口腔ケア意識の向上につながった。その意識を後押しするため、23年業務開始の本社ビルには、ハミガキ専用ブースを各フロアに設置したという。

【新入社員からセミナー】

「予防歯科では、セルフケアと歯科医院で行うプロケアが欠かせません。しかし、プロケアを実施していない従業員が約4割います。全員がプロケアを受けるのが目標です」と五十嵐室長。

歯磨き習慣をきちんと行っていても、歯と歯茎の間には歯垢・歯石がたまる。それを清掃するのがプロケアだ。歯や歯茎の状態もチェックし、ハミガキ指導を適切に受けられるメリットがある。が、忙しいと歯科へ行くのは二の次になりやすい。

「プロケア受診では上限2000円の補助金があり、ライオンの健康管理システム『GENKIナビ』のポイントも、100ポイントつきます。それでも、行かない従業員はいるのです」(五十嵐室長)

同社の歯科健診では、ハミガキ指導やハブラシの選び方なども行われている。グッズの配布や動画配信もある。日々のセルフケアをきちんと行っていると、プロケアの必要性をあまり感じない人もいるようだ。

「新入社員研修でセミナーを行っています。入社したときからプロケアの重要性を知っていただく取り組みです。また、50歳のセミナーなど、年代に合わせた情報提供によって、行動変容につなげてほしいと思っています」と、同社人材開発センター健康サポート室の川本和江氏は話す。

定期的なセミナーなどの取り組みは、「おくちプラスユー」という他社への「ウェルビーイング(心身と社会的にも良好なこと)サポートサービス」としても展開している。サービス提供者数は1万人を突破した。国民皆歯科健診の実施が実現すると、同社の口腔ケアの取り組みは、今後、さらに重要性が増しそうだ。 (取材・安達純子) 【次回は、富士フイルムホールディングス】 =火曜日掲載

■ライオン株式会社 ハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出。グループ全体の従業員数7550人(2023年12月31日時点)。1891年に創業。1918年設立。

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