自民党の石破茂元幹事長は１２日、立候補に向けて調整している党総裁選の争点として、防衛費総額を２０２３年度から５年間で約４３兆円に増額する政府方針の見直しを提起した。
防衛費について「円高時に設定した計画だ。是正を含め安全保障政策を見直さなければならない」と述べた。岸田文雄首相は防衛費を２７年度までに国内総生産（ＧＤＰ）比２％を目指す方針を打ち出しているが、為替の円安で装備品価格が上昇しており、防衛省の有識者会議ではさらなる増額を求める声が出ている。
石破氏の発言が一段の増額を求める意図なら、こうした流れに沿ったものだといえる。一方で石破氏はかつてインタビューなどで「ＧＤＰ比２％ありき」には否定的な見解を示している。専門的だがやや分かりづらいのが〝石破構文〟の特徴か。
同じく「ポスト岸田」候補の茂木敏充幹事長は１２日公開のネット番組で、党総裁の在職期間は「３年以内ぐらいがちょうどいい」と述べた。総裁を支える立場の幹事長が在職期間に言及するのは異例。９月末で３年の党総裁任期を迎える岸田首相を牽制（けんせい）したとみられる。
一方で茂木氏は「次期首相」を問う報道各社の世論調査で自身の順位が低いことを巡り、設問の名前の並びが五十音になっているためだと弁明した。「（私は）常に最後なので圧倒的に不利な立場にある」と強調、石破氏は「名前順で最初に出る」と対抗意識をにじませた。細かいところに問題点を見つけるのが〝茂木構文〟か。
産経新聞・ＦＮＮの６月の世論調査では１３人の名前が挙げられ、石破氏が１６・４％で１位で、茂木氏は０・４％で林芳正官房長官と並ぶ１０位だった。ただ、産経・ＦＮＮの調査は電話で行い、「次の首相に誰がふさわしいか」についてはランダムに名前を読み上げている。