門田隆将氏インタビュー
2022年7月の安倍晋三元首相暗殺、岸田文雄政権での旧安倍派の弱体化、今年9月の自民党総裁選で高市早苗経済安保相(当時)を逆転した石破茂首相の誕生―。作家でジャーナリスト、門田隆将氏は一連の動きを「自民党の左翼革命」と呼ぶ。総裁選や10月の衆院選の裏側を描いた最新刊『「左翼革命」と自民党崩壊 ―政界大動乱同時ドキュメント』(ワック)が話題の門田氏に迷走する石破政権について考えを聞いた。
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「政権選択選挙の衆院選で自民党議員の4分の1を落選させ、少数与党に転落させたのに居座るということはあり得ない。石破政権は自由主義圏からは中国にすり寄っていると見られ、ドナルド・トランプ次期米大統領からも〝敵認定〟されている。安倍昭恵さんにまで動いてもらわなければ会談実現の糸口すら見つからないような異常事態だ」
門田氏はあきれた口調で石破政権を批判した。
9月の自民党総裁選では、保守派の筆頭と目される高市氏が1回目の投票で1位となりながら、国会議員による決選投票で石破氏が勝利した。門田氏は最新刊で、逆転劇の裏側でどんな力が働いたのかを克明に記している。13日の全国発売開始と同時に3刷が決定する異例の売れ行きだ。
議員の「万能感」「エリート意識」
自民党の国会議員が選んだのが高市氏ではなく石破首相だった背景を門田氏はこう分析する。
「現在、多くの自民党議員が親中派だ。長年の〝日中友好絶対主義〟に侵され、『国家観』や『歴史観』を持たず、代わりに、なんでも自分たちの思い通りにできるという『万能感』と『エリート意識』を持った議員たちが石破総裁を選んだ。彼らは平和ボケで、強大なものには尻尾を巻く。7年8カ月の安倍政権を支えた保守・現実派の岩盤支持層は、これで自民を完全に見限った」
石破政権では「選択的夫婦別姓制度」の導入が議論に上り、「女系天皇」容認の風潮も広がりつつある。
門田氏は「ともに左翼陣営が仕込んできた〝爆弾〟だ。選択的夫婦別姓は日本の根幹である家族と戸籍制度を崩壊させるもの。自民党最左派の石破政権下で、どうしても実現させたい。女系天皇も、皇統に属さない天皇を実現させて日本の根幹を崩そうというものだ」と警戒する。
「日本再生」の道は…
来年1月20日には第2次トランプ政権が発足するが、石破首相は面会もできずにいる。ウクライナや中東、韓国など国際情勢は不安定要素が多い。混乱の度合いが増すなかで、門田氏は日本の将来に希望も見いだしている。
「日本保守党、参政党といった保守勢力が伸び、また国民民主党も『年収103万円の壁』の攻防で喝さいを浴び、国民は自分たちの生活を圧迫していたのは自公政権だったと気づいた。石破首相に代わり高市政権が発足し、国民がさらに目覚めて毅然(きぜん)とした国家観、歴史観を確立していけば、日本は必ず立ち直ると信じています」