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昭和歌謡の職人たち 伝説のヒットメーカー列伝 桑田佳祐(上)ロマンチックとエロ、ギリギリの線が刺激的 「真夏の果実」に知り合いの女性「こんなセリフを言われたら死んでもいい」

zakzak by夕刊フジ 2024年12月12日 11時0分

サザンオールスターズのフロントマンである桑田佳祐は1956年生まれの神奈川県出身。初めて彼の歌を聴いたとき、英語的で早口な歌い方に違和感も覚えたが、時がたつにつれ、彼の歌にどうしようもなく心が震えるようになった。

ステージでは、いつも情熱的な歌唱でファンに気さくに声をかけてくれる。バンドメンバーとのチームワークもよく、連帯感がすごい。大人になってもいつも子供心を失わない素直さがたまらない。聴いている自分も仲間のような気持ちにさせてくれる。男が男にほれるみたいな存在である。いくらでも褒めたい。

78年に「勝手にシンドバッド」でメジャーデビューして以降、サザンのリーダー、ボーカル、ギター、作詞、作曲と幅広く活動。「チャコの海岸物語」「TSUNAMI」など各年代ごとにヒット曲も多い。

デビュー曲のタイトルは沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンク・レディーの「渚のシンドバッド」の合わせ技とのこと。歌は、文字数の多い歌詞を英語的なのりで歌いこなす。茅ヶ崎育ちの彼らしい砂浜が舞台だった。

79年、初めて真夏の屋外フェス「JAPAN JAM」に参加。場所は江の島だった。ここでも「勝手にシンドバッド」を披露している。

ジャンルは違えども、アーティストといわれる人は、山、川、海などの自然環境に幼少期を育った人が圧倒的に多いような気がする。彼が育った茅ヶ崎は広くて長い湘南海岸が続き、白い砂浜を歩くと何か心が躍るみたいな気持ちになる。この空間が多くの若者には魅力なのだろう。

そして2000年の「真夏の果実」である。この曲を横浜アリーナで聴いたときは、若き日を思い出していた。周囲には涙ぐむ観客もいた。気持ちはよく分かる。

真夏の果実はいつか枯れるが、相手の中では過去でも、今も自分の中にある―といった歌詞。知り合いの女性が「こんなセリフを言ってもらったら死んでもいい」と話していたものだ。

桑田の曲は、どこかロマンチックで、どこかエロっぽい。そんなギリギリの線が実に刺激的なのである。

■桑田佳祐(くわた・けいすけ) 1956年2月26日生まれ、68歳。神奈川県出身。サザンオールスターズで78年にデビュー。来年1月から全国ツアーをスタートさせる。

■篠木雅博(しのき・まさひろ) 株式会社「パイプライン」顧問、日本ゴスペル音楽協会顧問。1950年生まれ。東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)で制作ディレクターとして布施明、五木ひろしらを手がけ、椎名林檎らのデビューを仕掛けた。2010年に徳間ジャパンコミュニケーションズ代表取締役社長に就任し、Perfumeらを輩出。17年に退職し現職。

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