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金正恩氏「有事の軍事介入」に日米韓が警戒 プーチン大統領が訪朝、韓国はロシアに「一線越えるな」警告 ウクライナ停戦がカギ

zakzak by夕刊フジ 2024年6月18日 15時5分

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は18日、北朝鮮を24年ぶりに訪れる。19日には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談に臨み、政治や経済、安全保障での協力深化を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名する。焦点の軍事協力強化をめぐっては、韓国で「互いの有事の際の軍事介入」を結ぶ可能性が取り沙汰されている。各国は、両国の接近がもたらす脅威を懸念している。

「プーチン氏の北朝鮮訪問は良い結果を生む」

ロシアのセルゲイ・ナルイシキン対外情報局(SVR)長官は17日に公開されたタス通信のインタビューで、こう述べた。

ロシアと北朝鮮は昨年以降、交流を活発化させている。正恩氏が同年9月にロシア極東でプーチン氏と会談したのをはじめ、10月にはセルゲイ・ラブロフ外相が訪朝し、今年1月には北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外相がロシアを訪れてプーチン氏と会談していた。

両国の関係強化は、軍事面にも及んでいる。北朝鮮は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに武器や弾薬を提供する一方、ロシアは軍事分野に転用可能な宇宙・科学技術などを支援しているとされている。ウクライナは、ロシア軍が今年、北朝鮮の短距離弾道ミサイル「KN23」を攻撃に使用したと特定した。

今回の訪朝で懸念されているのは、軍事協力のさらなる発展だ。冷戦時代にソ連と北朝鮮が結んでいた同盟関係に準じるような軍事協力に合意するのではないかとの観測もあり、各国が警戒する。

韓国大統領府の張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長は16日のテレビ番組で、ロシア側に「一線を越えるな」と警告したと明らかにした。

聯合ニュースは17日、「両国が『有事の際の自動軍事介入』に近い水準の軍事協力を締結する可能性が取り沙汰されている」と報じた。米ブルームバーグ通信は、韓国メディアで可能性が伝えられる緊急時の軍事介入を認める協定は、「軍事行動のリスクを強めるもので、米国の有事計画策定を複雑にする恐れがある」と伝えた。

識者はどうみるか。

福井県立大学の島田洋一名誉教授は「ウクライナ侵攻が続くかぎり、ロシアは北朝鮮の兵器を求め、北朝鮮もその見返りを求める。『新・悪の枢軸』と呼ばれるロシア、中国、イラン、北朝鮮の関係も強化され、どこかが戦争を起こしたとき、ほかが陽動作戦で協力することが懸念される。どこで陽動作戦が起きても日本は大きな被害を受ける。『新・悪の枢軸』強化の元凶であるウクライナ侵攻を停戦に持ち込むことを真剣に考えるべき時期だ」と語った。

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