大相撲初場所(12日初日・両国国技館)に向けた横綱審議委員会による稽古総見が6日、国技館内の相撲教習所で行われ、2場所連続全休中の横綱照ノ富士(33)=伊勢ケ浜=が復活に意欲を見せた。
「同じ右四つで、嫌な動きをしてこないから、やりやすいかと思った」と指名した大関大の里(25)=二所ノ関=に3勝4敗。それでも八角理事長(元横綱北勝海)は「去年の巡業で見たときと全然違う。本人も今日で自信をつけたんじゃないかな? 体が大きい割には左の使い方がうまいわな。最後まで出ていれば、大関にとっては相当なプレッシャーになるだろうね」と太鼓判だ。
横綱同時昇進を目指す琴桜(27)=佐渡ケ嶽、豊昇龍(25)=立浪=の両大関にとって、初場所に照ノ富士が出てくると出てこないでは大違い。ここ2年で9場所も休場する一方で、皆勤した3場所すべてで優勝を飾っているのだ。昨年初場所でも綱取りの霧島を土俵下まで投げ飛ばして立ちふさがった。
八角理事長は「もう少し時間がほしいが、あとは番数をこなせるか。(元横綱)千代の富士さんは〝今場所休場かな?〟と思っていても、なんとか勝ってるうちに千秋楽には元気になっていた。(照ノ富士も)去年の1月はそうだった」と指摘。初場所でも尻上がりに調子を上げ、優勝争いに絡んでくるとみる。
「3大関の2人が綱取りなので、上がってくれれば」とエールを送る照ノ富士だが、またもや自らの手で新横綱誕生を阻止しかねない情勢。一人横綱でいつまで経っても辞められないジレンマが今年も続いてしまうのか。
(塚沢健太郎)