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勝負師たちの系譜 大きく変わるファン層 藤井聡太七冠の「祝勝会と就位式」で感じた将棋を指さない「観る将」の増加、8~9割が女性客

zakzak by夕刊フジ 2024年8月3日 15時0分

7月23、24日で、藤井聡太七冠の棋聖祝勝会と名人就位式が続けて行われた。

23日は、ヒューリック杯棋聖戦が3―0で終わったので、第5局の対局場所だった静岡県沼津市での祝勝会。

最近は地方都市がタイトル戦を多く誘致するため、番勝負が決着しても街のために、祝勝会を希望するのだ。

今年の年明けからのALSOK杯王将戦では、七番勝負が4局で終わったため、残り3カ所の対局地すべてで、祝勝会が催された。

沼津市はこのところ対局場を『沼津御用邸』にして、毎年棋聖戦を誘致しているが、保持者が藤井になって以来、対局のない年ができてきた。

今年は藤井が午前中、地元の小学校に行き、まずは小中学生との交流会。

質問タイムでは「今まで指した棋士では、誰が一番強かったですか」とか「犬と猫はどちらが好きですか」といった、子供でないと言えない質問もあったと聞いた。

ちなみに後者の質問の答えは「猫」であった。

昼からのファンとのイベントは、170人くらいの人が集まったが、その8~9割が女性客。

いわゆる「観(み)る将」(指さないが観るだけのファン)だが、藤井個人のファンも多いはずだ。

第1部は、スライドショーとランチ。勝負メシも紹介された。2部から出演の藤井、私、青嶋未来六段は、別室で勝負メシを頂いたが、今回は鳥・ウナギ・金目鯛の釜めしだった。

第2部はまず棋聖戦第3局を、3人で解説したが、棋聖の完勝ぶりを再確認するだけとなった。

トークショーの後は、お楽しみ抽選会。地元の特産品、棋士の色紙の他、藤井棋聖と2ショットの写真が撮れる券が3枚。当たった人はすべて女性だが、実に嬉しそうな顔。皆満足して帰っていただいたようだった。

翌日は藤井も東京に移動し、名人戦第1局が行われた『椿山荘』での就位式。

こちらも一般のお客さまは、女性で埋まっていた。

驚いたのは、前日沼津に来ていた方が、多くいたこと。

私は沼津での抽選会の間に抽選でなく、一番遠くから来てくれた方に私の扇子を差し上げると言ったところ「神戸」「徳島」という声の後、最後は「愛媛」と言った女性に扇子を渡したのだが、その方も泊まって、就位式に来ていた。

ファンも昔とは大きく違うなと、つくづく感じた次第である。

■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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