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カワノアユミの盛り場より愛を込めて 規制の緩い地方へ浸潤する悪質ホスト 神戸でボーイズバー経営の男ら風営法違反の疑いで逮捕 背景に歌舞伎町の売掛金制度廃止が

zakzak by夕刊フジ 2024年10月17日 15時30分

今月7日、注目のニュースが飛び込んできた。

報道によると、神戸市内でボーイズバーを経営する36歳の男ら2人が無許可営業していたとして、風営法違反の疑いで兵庫県警に逮捕された。また、38歳の従業員の男も女性客に対して「売掛金」(=ツケ)を回収しようと脅したとして、恐喝未遂の疑いで逮捕された。この従業員の男は女性客を風俗店で働かせようとしていた疑いも持たれているが、いま各地でこのような事例が相次いでいるのだ。

夜の街にボーイズバーが増え始めたのは2016年からだ。この年から改正風営法が施行され、ホストクラブの深夜営業が禁止された影響で、飲食店に分類されるため24時間自由に営業できる系列店のバーが増えた。

こうしたボーイズバーでは系列のホストクラブで売れなかったホストらが働いている。一見は普通のバーで系列店であることが分かりにくいが、ホストクラブのホストらも、系列のボーイズバーで女性客とのアフターや同伴を行うことで、同じグループに利益が還元される仕組みが生まれた。

さらに、ボーイズバーを舞台に今回のような女性客の売掛金の支払いを巡る風俗店へのあっせん行為が発展した背景には、東京・歌舞伎町で今年4月から、ホストクラブ側が批判の多い売掛金制度を廃止する自主規制を始めた影響があるとの見方もある。今回摘発されたのは神戸のボーイズバーだったが、本音では売掛金の廃止を嫌う歌舞伎町のホストクラブの中には、まだこうした動きがない地方へと進出する店が増えているからだ。

同時に彼らの女性客も地方へと移りつつある。ツケがたまっている女性客にとっても、捕まるリスクが高まっている東京・歌舞伎町の大久保公園での立ちんぼ行為や競争が激しい都内の風俗店で働くよりは、地方で出稼ぎをした方が稼ぎやすいと考えられているからだ。ホストクラブに通う女性客が話してくれた。

「稼ぎ口として、今は大阪の飛田新地や神戸の福原が人気です。都内の風俗店は暇といわれますが、飛田新地は観光地化もしてお客さんも多く、にぎわっています。都内の立ちんぼスポットとは違って警察に捕まるリスクがないし、店番がいるので変な客と遭遇する心配も少ない。また、福原の高級店はお金に余裕のあるお客さんが多くて、福原と飛田新地を掛け持ちして出稼ぎに来る女の子は最近増えています」

悪質ホストクラブ問題は関西を始めとする地方へと舞台を広げ、取り締まりとの〝イタチごっこ〟は続くばかり。抜本的な対策が必要な現実が浮き彫りになっている。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/

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