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70年目の「七人の侍」リスペクト三昧 ジェダイが使うライトセーバーはチャンバラそのもの 「スターウォーズ エピソード4」(1977年)ジョージ・ルーカス監督

zakzak by夕刊フジ 2024年9月28日 15時0分

いよいよ最終回。黒澤明監督の「七人の侍」がいかにリスペクトされてきたかを紹介してきたが、最後は「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(1977年、ジョージ・ルーカス監督)だ。誰もが認める映画史に残る金字塔であり、SF映画のエポックメイキングだが「七人―」との接点を探ろう。

シリーズは本編9本にスピンオフも多数ある壮大なサーガだが、今回は第1作に絞る。

例えばR2―D2、C―3POという2人組のロボット。人間に擬して怖がったり喜んだり、感情を表す。これがかわいくて人気者になった。時にはコンピューターに接続してルークたちを助けたり大活躍をする。これって「七人の侍」や「隠し砦の3悪人」に登場するおっちょこちょいの農民だろう。

ルークに知恵を授けるオビワンは歴戦の知将、島田勘兵衛そのもの。ルークは半人前の浪人がやがて一人前に成長する岡本勝四郎、ルークを助けるハン・ソロはまさに菊千代だ。三船敏郎の存在の大きさがいまさらながら理解できる。そして、ルーク&ハンとレイア姫との恋は勝四郎と村の娘・志乃の関係か。

カメラワークも似ている。ひとつの戦いを異なる角度からいくつも撮影してカットでつなげたり、ワイプトランジションという手法を使ったりしている。フレームの片側から反対側にフレームが移動して別のシーンに替わる手法で、時代遅れといわれていたが、伝統を守るために多用していると考えられる。

さらにブラックインやブラックアウトも。画面全体の暗い状態から徐々に映像を浮かび上がらせたり、反対に暗くしてフェードアウトしたり。これらはカットとカットをつなぐのにとても効果的なのだ。

そもそもジェダイが使うライトセーバーは、まさしくチャンバラではないか。「荒野の七人」が拳銃なら、ここでは見事に剣士同士の殺陣が主流。「サムライ」の影響がハッキリ現れている。

新3部作まで来るとCG技術や特撮技術は格段の進歩を遂げている。だがVFXやCGがいかにすごかろうとも、基本は泥臭い人間同士の肉体のぶつかり合いにあるのは明白だ。 =おわり (望月苑巳)

■スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望 日本公開は1978年7月1日。出演はマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ハリソン・フォード、アレック・ギネス、ピーター・カッシングら。

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