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2024年秋・衆院選 石破氏vs高市氏、党総裁選の〝推薦人に明暗〟衆院選中盤情勢 「裏金問題の余波、自民党候補全員が受けている」激戦区はより厳しい状況

zakzak by夕刊フジ 2024年10月21日 15時20分

政治評論家の小林吉弥氏が分析

衆院選(27日投開票)は投票日まで1週間を切り、戦いがヒートアップしている。自民党は石破茂首相(総裁)の度重なる「変節」や派閥裏金事件などが響いて、報道各社の世論調査で定数465議席の過半数(233)に届かないとの分析が相次ぎ、苦戦を強いられている。2009年以来となる単独過半数割れの恐れもあるなか、石破首相と、保守層に人気の高市早苗前経済安保相が、「党の顔」として応援に駆け回っている。党総裁選(9月27日)で石破首相と高市氏の推薦人となった国会議員40人のうち24人が、今回の衆院選で小選挙区から出馬しているが、状況はどうなのか。政治評論家の小林吉弥氏に情勢を分析してもらった。

「国民が片時たりとも困らない責任ある政治をするのは自公だ」

衆院選で唯一の選挙サンデーを迎えた20日、石破首相は大阪や堺市などで街頭演説し、こう訴えた。

高市氏も全国を駆け回っている。20日には地元・奈良県に入り、奈良1区(奈良市の一部、生駒市)から出馬している小林茂樹氏の応援に駆けつけた。

小林茂樹氏は自民党総裁選で、高市氏の推薦人となった20人の1人だ。今回の衆院選の小選挙区には、高市氏の推薦人のうち10人、石破首相の推薦人では14人が立候補した。

計24人の情勢は、表の通り。あくまで選挙区での情勢で、比例復活は含まない。「あと一歩または苦戦」という候補が11人(石破首相推薦人6人、高市氏推薦人5人)に上り、自民党の苦境が浮かび上がる。小林吉弥氏は「温度差はあるが、裏金問題の余波を自民党候補全員が受けている。自民党にとって相当厳しい選挙だ」と話す。

注目選挙区の状況はどうか。

石破内閣の閣僚4人(平将明デジタル相、赤沢亮正経済再生相、岩屋毅外相、小里泰弘農水相=顔写真)のうち、小林吉弥氏は小里氏を除く3人を「当選圏内」と分析した。

「平氏は、初入閣という『ご祝儀』の支持もあるだろうし、前回2021年の衆院選もダブルスコアで勝っている。同じく初入閣の赤沢氏は『ご祝儀』に加え、同じ鳥取県選出の石破首相が誕生したこともプラスとなる。岩屋氏については9期目のベテランで外相にもなった。安定した強さがある。小里氏は形として接戦にはなっているが、立憲民主党の野間健氏が小里氏よりも無党派層に浸透している印象だ」

一方、世論の「風」が勝敗を左右する激戦区の状況は厳しいようだ。

新潟4・5区 泉田氏、高鳥氏厳しい戦い

石破首相の推薦人に名を連ねた元新潟県知事の泉田裕彦氏は党の公認を得られず、新潟4区(長岡市、柏崎市など)から無所属で出馬した。同選挙区では自民前職の鷲尾英一郎氏も立候補しており、「保守分裂」の様相のなか、党県連が15日付で泉田氏の除名を求める文書を党本部に提出する騒動も起きた。

高市氏の推薦人では、党内の保守派グループ「保守団結の会」の代表世話人で、総裁選で高市氏の選対幹部として奔走した高鳥修一氏が新潟5区(上越市など)で立候補したが、前回衆院選では立民の梅谷守氏に130票差で敗れており、今回も激戦を繰り広げている。

小林吉弥氏は「泉田氏は保守系の無所属として出馬したが、鷲尾氏との間で保守票がいささか割れており、前新潟県知事で立民から出ている米山隆一氏が一歩リードという形だろう。新潟5区は接戦だが、無党派層の取り込みという点で、高鳥氏は梅谷氏に一歩後れを取っている感じがする」と分析する。

石破首相は衆院選直前、党派閥裏金事件で4月に党処分を受けた衆院議員の一部を「非公認」とし、政治資金収支報告書に不記載があった議員の「比例重複」を認めない方針を打ち出した。

高市氏の推薦人のうち、三ツ林裕巳氏は「非公認」で無所属での出馬となったが、「祖父の代からの地盤で名前が相当浸透し、公明党の推薦も取り付けている」(小林吉弥氏)として、「やや優勢」となっている。

ただ、公認などをめぐる自民党執行部の決定には、「二重処分」との不満がくすぶっており、衆院選後の〝火種〟となる恐れをはらんでいる。

小林吉弥氏は「石破首相は衆院選の勝敗ラインを『自民、公明での過半数』としているが、今回の選挙での処遇に不満を持つ旧安倍派を中心とする議員たちは『自民の単独過半数を守れなければ、石破首相の責任問題だ』というスタンスで臨む可能性もある。衆院選のダメージ次第では、来夏に参院選を控える参院自民党がその動きに乗る展開も考えられる。そうなれば、石破政権は危機的な状況に陥るだろう」と語った。

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