野球日本代表「侍ジャパン」は24日、東京ドームで行われた国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」決勝で台湾に零封負け。井端弘和監督(49)が待望してきたラッキーボーイは、自身が救世主となった11年前の台湾戦を思い起こさせる窮地で出現しなかった。
全勝で勝ち上がった決勝で、先発を託した戸郷(巨人)が2被弾4失点。打線もゼロ行進を続けて土俵際に追い込まれるなか、多くの野球ファンは日本ベンチに陣取る指揮官が同じ東京ドームの台湾戦で起こした奇跡の再現を期待したはずだ。2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、負ければ敗退の2次リーグ最終戦。1点を追う9回2死二塁から同点打で日本を救った。
井端監督は当時を振り返り、「まず最初にコーチ用の手帳を渡されて、『半分はコーチの仕事だぞ』って言われていた。合宿の強化試合でも俺だけ打席に立っていない。『メンバーに入っていいのかな?』って感じだった」と当落線ギリギリからのスタートだったと告白。数少ないチャンスをものにして代表内での序列を上げ、台湾戦でヒーローの座を勝ち取った。
大会前には「そういうのが1人と言わず2、3人欲しいよね。5人いたら優勝できる」と、代表で成り上がる〝井端2世〟を待望。ここまでの熱戦を通じて有力候補は何人も出てきていたが、4点を追う5イニングのうちに人生を変える一打を放つ後継者は現れずじまい。「最後に勝たせられなかったのは私の責任。選手はよくやってくれた」。侍ジャパンの公式戦連勝は「27」で止まった。 (片岡将)