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カワノアユミの盛り場より愛を込めて 「立ちんぼ」消えない理由はホストクラブの高騰 メイン客層だったキャバ嬢や風俗嬢の収入減、崩れたバランスが生んだゆがみ

zakzak by夕刊フジ 2024年7月22日 14時41分

ツケがたまった女性客に売春などを強要する悪質ホストクラブ問題が昨年来、クローズアップされてきた。今年4月に東京・歌舞伎町のホストクラブで売掛金(=ツケ払い)が廃止され、約3カ月が経過した。

歌舞伎町の大久保公園で「立ちんぼ」をして体を売る女性の数は一時期に比べて減少したように見えるが、それでも警察の取り締まりとのいたちごっこは続いている。なぜ、彼女たちは路上に立つことを止められないのだろうか。

ホストクラブはこの10年あまりで大きく変わった。路上での「キャッチ」が禁止されたことで集客の場はSNS上へと移り、ホストクラブ側は広告戦略の一環として、売上1億円をうたうホストたちを派手に登場させるようになった。彼らはあくまでも〝見せかけの億プレーヤー〟だが、シャンパンなどの価格が高騰した結果、ホストクラブの料金は実に10年前の3~6倍にもなり、売り上げは大幅に増えた。

一方、ホストクラブのメインの客層でもあるキャバ嬢や風俗嬢の収入はこの10年間でむしろ減っている。特にコロナ禍では企業の接待経費が大幅に削減されたり、店側も営業自粛や時短営業を余儀なくされたりして、いったん遠のいた客足は現在もまだ戻っていない。

価格競争が激化して値下げを行う店も増えており、数年前まで風俗やキャバクラで稼いでいた女性たちにとって、現在のホストクラブの料金は到底支払えない額になっている。これが、彼女たちが立ちんぼやパパ活に流れる要因でもあるのだ。

そんな中、世間を騒がせたのが「頂き女子」だ。その言葉を広めた「頂き女子りりちゃん」は金をだまし取った男性たちと肉体関係を持っていた。さらに最近では、肉体関係を持たずに男性から金を引き出す手口も横行しているという。

なお、「りりちゃん」が貢いでいたホストは、それを詐取金と知りながら受け取ったとして組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕された。事件を受け、現在のホストクラブではホストが女性客の仕事を把握したり管理することが禁止されている。

だが、たとえ売掛金が廃止されても、ホストが立て替える形で女性客に借金を負わせる行為は依然として減っていない。結局、詐欺や立ちんぼなどの犯罪行為を撲滅するには、ホストクラブの料金を下げる以外には具体的な解決策はないように思える。ホストクラブの料金と女性客の収入のバランスが崩れたままでは、新たなゆがみが生み出され続けるだけだ。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/

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