兵庫県知事選で、PR会社が斎藤元彦氏の広報全般を担ったとするインターネット記事を公開し公職選挙法違反との指摘が出ている問題で、斎藤氏は25日、公選法で認められたポスターの制作費などとして約70万円を支払ったと認めた上で「公職選挙法違反となるような事実はないと認識している」と強調した。PR会社との間で正式な契約書を交わしていなかったが、ポスター制作費などの請求書があるといい、近く斎藤氏の代理人弁護士が記者会見を開く。
PR会社は兵庫県西宮市の「merchu(メルチュ)」。同社の女性経営者が20日付で投稿した記事では、斎藤氏のイメージに合わせて選挙用プロフィル写真を撮影。キャッチコピーの提案や公約スライドの作成、SNSの公式応援アカウントの開設や運用を手がけたとしていた。
同社が主体的に運動の立案をしていて報酬が支払われていた場合、運動員の買収になる可能性も指摘されているが、斎藤氏は報道陣に「SNSは陣営が主体的に運用した。女性がボランティアとして個人で参加されたと認識している」と説明した。
一方、選挙運動で本来有償の業務を無償で提供することは公選法上「寄付」に該当する。女性は県が主催する会議に委員として参加し報酬が支払われており、自治体と利益を伴う契約の当事者による寄付を禁止する公選法に抵触する可能性も指摘されている。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「70万円の支払い以外の活動がボランティアで無償だったとしても、女性は『チームで運用していた』と投稿しており、『サービスの提供』とみなされる可能性もある。仮に県の委員などについて約束していたとすると、事前収賄も疑われかねない」と語った。
斎藤氏は、知事再選後にも委員をしてもらう約束を事前にしていたかどうかについては「一切話をしていない」と否定した。