国内女子ゴルフ「スタンレーレディスホンダ」最終日(6日、静岡・東名CC=6610ヤード、パー72)
スポーツの世界、勝利への方程式は「楽しくポジティブになることですね」と話したのは、プロ3年目で初優勝した佐藤心結(みゆ、21)である。
首位タイで迎えた最終日。前半ボギーが先行して一時3打差と離されたが、11番のバーディーを序曲に覚醒した。14番で5メートルを沈めると、15番はピン側50センチ、16番はチップイン、17番は10メートルをねじ込む4連続バーディー。まさに優勝への〝スーパー・サンデーバックナイン〟で、混戦を抜け出したのである。
プロ3年目。過去2年間、シードは維持しているが、今季は自身のネガティブさが負の連鎖になった。「ゴルフに対して考え過ぎる性格なんです。全部ネガティブになってしまう。コースに立つと目の前にバンカーとかハザードとかが見える。(入ったら)どうしようと考えてしまう。自信がなくて回ると、周りのプロがうまく見えて、自分が下手に感じる」。前半21戦で17度の予選落ち。年間ポイントランキングは80位台に沈み、シード権(50位以内)は程遠い状態だった。
先輩の〝金言〟効果
そんなとき思い出したのが先輩プロの葭葉(よしば)ルミ、工藤遥加。一緒にラウンドしたときの言葉だった。「心結は試合勘が出過ぎ。硬い! もっと遊びながらやれよ。巧いんだから自信を持ってやれよ。楽しくやれよ」
アマチュアで出場した3年前はプレーオフの末に敗れた今大会で、久々の優勝争い。「実は前半、硬かった」が、後半は先輩の金言を胸に刻み「楽しくやったら、いい結果が出ました」。最終18番で優勝パットを沈めた際、「足ががくがくして、現実かな」と涙が止まらなかった。苦節を乗り越えた感動の涙は心地よかったはず。竹田麗央、川崎春花、神谷そら、桜井心那、尾関彩美夢に続き、2003年生まれ〝ダイヤモンド世代〟6人目の優勝者に名を連ねた。
とかく昔人は、根性を入れて真摯に向き合うことを勝利への道…などと口うるさく言うが、現代人は〝楽しくポジティブ精神〟が勝利への道ですかね。ドジャースの大谷さんだってそう。もちろん、技術が身にあってのことですが。おめでとう、佐藤心結プロ!! (清水満)