バフェットは「自分の娘婿にしたいような人物が経営者として理想だ」と述べる。家庭(会社)を顧みず遊び歩くような人物は言語道断だということだ。
また、会社を丸ごと買収(M&A)する場合には、既存経営者が残留するのが原則だ。そして、税制の問題もあるのだが、2割程度、既存経営者の持ち分として残す。既存(創業)経営者が、会社に愛着を持ち、手放した後も発展を望むのはごく自然な感情だ。
2割の株式を保有することにより、将来的な会社の成長に目が向けられ、責任を負うことになる。バフェットは、経営者が「企業の将来」に関心がなければ発展しないと考えているのだ。
そのバフェットの考えと真逆なのがいわゆるプロ経営者である。彼らは決められた期間だけの短期的実績によって評価されるから、企業の将来的な成長に関心がない。バフェットの言葉を借りれば「レンタカーを洗って返す人間はいない」ということだ。彼らにとって企業はレンタカーに過ぎない。コンサルタントも同様に短期的成果にしか関心がない。
このような短期志向は四半期ごとの見かけの決算を向上させることができても、長期的には企業の「本質的価値」を痛めつけ企業を衰退させる。
したがって、バフェット流の投資家は、プロ経営者が統率しコンサルタントに重要な判断を頼っている企業に投資を行うべきではない。
実際、筆者は、プロ経営者が統括する企業には投資を行っていない。また、保有していた某企業の次期社長がプロ経営者になると発表された直後に、すべての株式を売却した。
また、SDGs(持続可能な開発目標)や(形式だけの)コンプライアンスも企業の長期的発展を考えれば、導入に躊躇(ちゅうちょ)するはずのものである。結局のところ、深い考えもなく、短期的な自社(自分自身)の評価を上げるためだけに導入しているケースが多いから、そのような企業も投資先としては避けるべきである。 (人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略