先週はNHK・BSで日曜夜10時から放送の〝明日が待ち遠しくなるドラマ〟をとりあげたが、今回も同じ枠、テレビ朝日の日10ドラマ「素晴らしき哉、先生!」(ABCテレビ制作)を書かせてもらう。こちらは〝毎回ラストにほろりとさせられるデトックス効果ありの学園ドラマ〟だ。
エンディングに竹内まりやの歌う主題歌「歌を贈ろう」が絶妙のタイミングで流れる。
歌いだしの歌詞は ♪ほらね また泣きそうになってる―。
「泣きそう」どころか、涙腺崩壊ぎりぎりのところに、まりやの甘く切ない歌声がかぶさり、ティッシュを探す羽目になる。
俳優の宅間孝行が、自身は出演せず、脚本と演出を手掛けたオリジナル作品。宅間は映画監督でもあるから、「素晴らしき哉、先生!」というタイトルは、ハリウッドの名匠フランク・キャプラがメガホンをとったジェームズ・スチュアート主演の不朽の名作「素晴らしき哉、人生!」と〝1字違い〟。
ただし、ストーリーは映画とはまったく無関係。高校教師が主人公のドラマなので、タイトルに「先生」の文字がほしかったのだろう。
だが、夢と希望を抱いて教師になったZ世代のヒロイン(地上波連ドラ初主演の生田絵梨花)が土曜の夜に恋人の部屋でワインをがぶ飲みしながら、延々と彼に愚痴をこぼすシーンから、このドラマは始まった。
教育現場の理不尽さ、教師という職業の大変さを聞いてもらい、とうとう辞職を決意する。ところが学園長(萬田久子)に逆に3年C組の担任を頼まれ、断り切れず、引き受けてしまう。
生田にはかわいそうだが、ストレスでおなかが痛くなり、トイレに駆け込んで用を足すシーンが頻繁に出てくる。保護者会では新任の副担任(葉山奨之)ともどもボロカスに言われる始末。見ているこちらまでトイレに立ちたくなる。
しかし、コメディーにしてはハードタッチかと思われる宅間の脚本&演出が、毎回、後半に一転する。先生という職業を「素晴らしき哉!」と歌い上げてくれるのだ。 (新橋のネクタイ巻き)