阪神は6日、今季限りで退任した岡田彰布前監督(66)が11月1日付で「オーナー付顧問」に就任したと発表した。契約期間は3年で、大阪市内の阪神電鉄本社で取材に応じた岡田オーナー付顧問は、さっそく後任の藤川球児新監督(44)体制に対し歯に衣着せぬ〝毒ガス〟を噴射。この調子では結局アレもコレも口出しするのは確実(失礼!)…というわけで、どうする、球児!? (岩﨑正範)
20分独演会
10月13日のクライマックスシリーズ敗退後は体調不良で検査入院し、約3週間ぶりに公の場に姿を見せた岡田前監督。すっかり元気を取り戻したそうで常に上から目線…のあの得意げな顔面がオーナー付顧問として〝復活〟した。
「違う意味で手助け」近日中にも秋期キャンプ訪問
「ユニホームは脱ぐけど違う立場で手助けするというか、そういうことになるな」と役職を説明した後は、約20分の独演会に突入。「キャンプ行ったら話す機会とかあるやろ。(監督業が)初めてでわからんこともあると思うから。選手のどういう力を出せるとか、2年間見てきた中での自分の中での総合的な判断はあるからな。その選手に対してのアドバイスはできるし」と近日中にも高知県安芸市での秋季キャンプに乗り込むことを明かした。
その藤川新監督については「練習の中では一喜一憂は必要ない」「長い目で(開幕の)3月にベストな形で持っていくことが大事。今からあれこれ考えてたら体はもたない」と助言。一方で「でも、やっぱりある程度、自分の思い描いている形は作って入らなあかん」だの「最初から選手も首脳陣もいけると確信を持てる強いチームを作っとかなあかん」と次第に〝どんでん節〟での注文が…。
「結局、(新体制で)コーチとか変わっても、やることはそんなないし、これ以上変わったことはでけへん。新しい練習方法ってもうないから、(大事なのは)継続、積み重ねよ」と持論を述べた上で、ついには〝毒ガス〟を一発…。
「2月になったら忘れてるよ」
「秋に紅白戦なんか俺は全然意味ないと思う。何を評価すんの? 紅白戦で結果が出たからというても、2月になったら忘れてるよ。今は体ができてるからこの秋の時期は練習できるんよ」と計3度の実戦を取り入れている今回の秋季キャンプに異を唱えたのだった。
この岡田顧問、愛煙家だったはずが体調を崩して以来、1カ月間も禁煙中にしているとか…。くしくも藤川新監督は選手、スタッフに活動中での喫煙を全面禁止にしたばかりだが、「たばこなんか1カ月やめている。一応球児に言うたよ。『俺も禁煙したで』って。イライラもせえへん。全然欲しくならんのよ」と言うのだから変われば変わるものだ。
「自分のチームやねんから、好きにやるのは当たり前」とアレやコレやと言いながらも最後は藤川新監督にエールを送った岡田顧問。今後も選手の指導をするのかの問いに「しないしない。指導料もろうてへんもん。〝口代〟はもろうているけど(笑)」とブラックジョークで返す場面もあった。
球団サイドも岡田顧問には編成面の決定権こそないものの「最大級の功績をたたえて、今後は支援や助言をいただきたい。プロ、アマスカウトにもアドバイスができるようなお仕事も。自由に動いてもらったらいい。解説等の仕事も厳しい評論が持ち味。存分に発揮してもらえばいい」と粟井一夫球団社長。王様級の扱いで協力を求めているが、当然おかしな采配があれば黙っていられる性格ではなく、テレビ、ラジオで容赦なくバッサリ斬りまくるのは間違いない。
散々、岡田顧問の話ばかり書いてきたが、師匠のこの手の言動を知り尽くしている藤川新監督も「岡田監督が作ってくれたのが今の僕なんです。大丈夫、うまくやっていけます!」と自信満々、百も承知でいる。藤川新監督の〝火の玉〟に岡田顧問の〝毒ガス〟が引火して『ドカーン』とならぬよう、この「師弟愛」の行方に注目したい。