会話の7割は趣味の〝釣り〟の話だった
DeNAの大田泰示外野手(34)が現役を引退しました。
彼には巨人時代、期待されながら結果を残せなかった時期からずっと懇意にしていただきました。人柄に加えて、趣味が私と同じ〝釣り〟だったのです。球場での会話の7割は釣りだったかな(笑)。
2016年オフに日本ハムに移籍すると、17年にはレギュラーを獲得して規定打席に到達。実はこの年、約束をしていました。「100安打したら釣り竿、15本ホームランを打ったらリールをプレゼントするよ」。かなり高いハードルでしたが、ヒットは110本。ホームランは最終盤の10月4日に15号。すぐに「リールもゲット!」とLINEが来ました。
「巨人時代は結果を出さなきゃ使ってもらえない…ってばかり考えていました。でも日本ハムに来て、自分のスタイルでやって結果が出なければ辞めるだけのことだって開き直れた」
彼のスタイルとは走攻守とも全力プレー。それが数字にもつながり、北海道のファンを熱狂させたのですが、同時にケガのリスクを伴いました。21年は72試合の出場にとどまり、球団は彼との契約を更新せず…。「あのとき巨人からオファーがあれば考えていたかな。そうなっていたらどうなっていたんでしょうね」と話す彼は結局、東海大相模高時代から〝第2の故郷〟と慕う横浜でのプレーを選択しました。
DeNAでも全力プレー。幾度となくチームに勝利をもたらした彼のお立ち台で絶叫する姿は、まさに星のごとく輝いていました。しかしケガとの戦い続きでついに戦力外…。「まだやれる」との思いで彼を励ましましたが、手を挙げる球団はありませんでした。
「少し緩めてプレーをすればもっと長くできたかもしれない。でもそれは僕のスタイルじゃありませんから」。貫き通したものがあったからこそ、「悔いはありません」と記者会見で言えたのでしょう。熱いプレーをありがとう! そして16年間お疲れ様でした。(フリーアナウンサー・松本秀夫)