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ニュース裏表 有元隆志 衆院選「2000万円問題」決裁されたのは総裁ですね? 責任はうやむやのまま…石破首相は「勇気と真心」あるなら真実言明を

zakzak by夕刊フジ 2025年1月10日 11時0分

石破茂首相(自民党総裁)は昨年10月の衆院選の最中、派閥のパーティー券収入不記載問題について、「あっていいはずがない。性根をたたき直し、信頼してもらえる政党になる」(鹿児島県での街頭演説)と強調した。

産経新聞の報道によると、「政治とカネの問題をこのままにしてはいけない。決着をつけんといかん」と周辺に語っていたそうだが、石破首相の口からいまだに「終結宣言」は出ていない。いつまで、この問題をズルズルと引きずるのだろうか。

政治資金収支報告書への不記載はあってはならないが、すでに東京地検特捜部の捜査も終わり、自民党は処分も行った。本来なら昨年1月の段階で終了とすべきだったが、岸田文雄前首相は朝日新聞に乗せられて「道義的責任」まで言い出した。

案の定、昨年の通常国会はこの問題で〝野党の餌食〟となり、岸田氏は総辞職に追い込まれた。昨年10月には衆院選が行われ、不記載問題を抱えた候補も審判を受けた。

有権者の判断は最も重い。にもかかわらず、石破首相は非公認にした萩生田光一元政調会長らの追加公認を認めず、野党の要求に応じて、不記載関係議員に衆参両院の政治倫理審査会への出席を促す発言を繰り返した。石破首相も岸田氏同様、安倍晋三元首相が率いた旧安倍派の議員を牽制(けんせい)するために、この問題を利用しているとしか思えない。

「性根をたたき直す」必要があるのは、首相自身ではないのか。

昨年末の本欄で、衆院選の終盤、不記載問題を理由に党から公認されなかった候補側に2000万円が支給された件を取り上げた。フジテレビの投開票日(10月27日)の特番で、反町理解説委員長から「決裁されたのは総裁ですね?」と聞かれ、石破首相は「常に党のルールに従ってやっている」と答えた。

それまでは、森山裕幹事長と事務方トップの元宿仁事務総長が矢面に立たされ、私もネット番組などで批判した。

もちろん、石破首相の決裁が間違っているとして、両者が止めに入ることもあり得たはずだ。森山氏は2005年の衆院選で郵政民営化に反対して無所属で出馬し、党本部が送り込んできた刺客候補を破った経験がある。無所属候補の辛さを痛いほど分かっているので、あえて異論を唱えなかったのかもしれない。

この問題で、石破首相は「報道に誠に憤りを覚える」と、矛先を報道した共産党の機関紙「しんぶん赤旗」に向けていた。

選挙後の両院議員懇談会でも2000万円問題は取り上げられたが、石破首相は自らの指示や決裁は認めなかった。自身の責任はうやむやにしたままで、年末年始にかけて野党との「大連立」、あるいは7月の衆参同日選の可能性に言及するなど、言葉遊びをしても誰も真剣に受け止めない。

石破首相は昨年9月の党総裁選で、政治家のあるべき姿として「勇気と真心で真実を語る」と繰り返し訴えたが、いままさにその言葉を実行すべきではないのか。(産経新聞特別記者 有元隆志)

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