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天野秀夫 中小型厳選株 JPX中小型株指数で新規採用の好業績株「タスキホールディングス」に先高観膨らむ 空き家対策関連の切り口も

zakzak by夕刊フジ 2024年8月29日 11時0分

前週のジャクソンホール会議でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演を受けて9月の米国利下げ期待が膨らみました、今後は9月6日の米8月雇用統計などを手掛かりに、利下げ幅や年内の利下げ回数に関心がシフトしてきます。一方、日米金利差の縮小から為替の円高進行が警戒されて、日経平均の上値は抑制される可能性も高まっています。

ただ、為替の円高は日本株に投資を狙う海外投資家にとっては追い風に働くことも事実です。円高傾向が鮮明になれば海外投資家は日本株の「持たざるリスク」を意識し始め、相場の転換点を迎える期待もあります。

当面は、為替動向をにらんで内需型の銘柄に関心が強まってくる可能性があり、材料を抱えた好業績銘柄で東証グロース上場の「タスキホールディングス」(166A)が先高観を高めていいます。

8月7日に発表された「JPX日経中小型株指数」構成銘柄の定期入替では、50銘柄を新規に追加、45銘柄が除外されましたが、同社株は新規採用銘柄となりました。今後はインデックス運用による機関投資家の買い需要も期待されます、また、業績面でも安心感が強いことが魅力です。

タスキホールディングスは投資用マンション事業を展開し、国内外の富裕層・投資家に向けたアセットマネジメントビジネスも手掛けています。

2024年4月1日から新日本建設との経営統合でホールディングス体制となり、その初年度となる今24年9月期連結業績は、4月22日付で連結子会社化に加わった不動産活用会社のオーラを加え、売上高471億円、営業利益50億円、経常利益45億円、当期利益28億5000万円、1株利益68円62銭、期末配当15円予想。この通期予想は8月2日の第3四半期決算と同時に上方修正されたもので、業績面での懸念は少ない。ホールディングス化以前のタスキは3月期決算企業で、売上高258億200万円、営業利益26億2400万円。収益規模は大きくアップしています。

さらに、新たな材料も加わっています。8月20日には国土交通省が、空き家の売買で取引業者が受け取れる報酬の上限を引き上げたことが報じられています、全国の空き家は900万戸に達しているとされ、社会問題の一つとなっています。仲介業者が受け取れる報酬はこれまでと比べ最大で3倍以上になるケースもあるといわれ、連結化したオーラは空き家情報プラットフォーム事業を手掛け、今後の追い風材料として働きます

株価はホールディングス化後の7月最高値755円から8月5日には全般安に巻き込まれ512円安値まで調整、その後のリバウンドが一巡した時価は600円台前半に位置しています。ホールディングス化が始まった4月初頭の株価は670円で、時価水準はこれを下回っています。

JPX中小型株指数新規採用、業績は上方修正済み、政策支援を受けた空き家対策関連と材料がそろい、今後は株主還元も期待されます。

■天野秀夫(あまの・ひでお) 日本大学法学部卒。1987年4月、日本証券新聞社に入社。記者、編集局長などを経て、代表取締役社長を12年近く務める。2017年4月、独立。証券・金融界、上場企業経営者とのパイプを生かし金融リテラシーへの貢献を目指す。

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