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「寒暖差不調」に要注意、うつ病につながる可能性も 今秋はラニーニャ現象+台風による気圧変動…どうすれば 医師が解説

zakzak by夕刊フジ 2024年8月30日 11時0分

パークサイド日比谷クリニック・立川秀樹院長が解説

今夏は全国各地で年間猛暑日の最多記録を更新するなど、まさに灼熱(しゃくねつ)の日々が続いた。気象庁の発表によると、9月に入っても全国的に気温は平年より高く、厳しい残暑が続きそうだ。多くの人は、早く涼しくなってほしい―と思うだろう。だが、気温が下がることは、実はいいことばかりではないようだ。

「体温調節をつかさどる自律神経は、5℃以上の急激な気温変化に対処できないため、それが繰り返されると自律神経のバランスに異常をきたしてしまいさまざまな不調が起こります」

そう指摘するのは、パークサイド日比谷クリニック(東京都千代田区)の立川秀樹院長だ。

「1日の間や、日によって気温のアップダウンが激しくなると、それに交感神経が反応して、常に交感神経が優位な状態(過覚醒)が続きます。こうなると、心身が常に『オン』モードとなり、何もなくても、早歩きで坂道を上るような状態になるのです」

体にはさまざまな変調が起きる。いわゆる「寒暖差不調」だ。倦怠感、疲れが取れない、不眠(寝付きが悪い、熟睡感がない)、食欲低下、肩こり、頭痛、吐き気など、多くの症状が出てくる。不調を引き起こす過覚醒の大きな特徴は、感覚の鋭敏化にある。

「通常の痛みをものすごく大きく感じたり、人混みがつらくなったり、職場では上司、同僚や部下、そして自宅では、奥さんや子供などの表情や評価を異常に鋭敏に感じたりするため、それまで気にならなかったことをストレスと感じるようになる。すると、さらに交感神経が上がり、副交感神経が下がるという悪循環が起きてしまいます」

それだけではない。急激な寒暖差に加え、これからの季節特有の現象がわれわれを悩ませる。

「台風による気圧変動です。過覚醒は、良くも悪くも『変化』がきっかけになります。仕事量の増加や上司との関係悪化、離婚や親族の死などの嫌な変化だけでなく、昇進や結婚、子供の誕生などの良い変化も、ストレスになります。1つずつなら問題ないことでも、季節的な要因を含め、いくつもの変化がマルチで自身にふりかかるため、まさに、泣きっ面に蜂。特に暑い日が続いた今年は、気候の影響面で自律神経が乱れがちになっているので、例年以上に注意が必要です」

今年はラニーニャ現象(太平洋赤道域の海面温度が例年に比べ、西部でより高く、東部でより低くなる現象)の発生が予想される。

どうすればいいのか。

「過覚醒かもしれないと感じたら、まず、カフェインを避けること。カフェインは交感神経を刺激するため、過覚醒には逆効果です。そして、休むこと。マッサージや森林浴などの受動的な癒やしがいいでしょう。朝は、日光を浴びる。カーテンを開けて日の光を浴びるだけでかまいません。自律神経のバランスを整える作用がある物質のセロトニンが出やすくなります」

遊びや飲酒など能動的な行為は、元気な人には効果があるが、交感神経が高ぶって疲れ切った人にとってはストレスに。

「1日3回の食事、特に朝食を摂って、内臓を動かすことも重要です。中でも腸は〝第2の脳〟とも言われるほど重要な器官なので、腸内環境を整える発酵食品を摂ることは自律神経を整える観点からオススメです。私も〝腸活〟として、ヨーグルトと納豆を意識的に食べています。また、ヨーグルトはセロトニンの原料となるトリプトファンが多く含まれます」

寒暖差不調が、うつ病につながる可能性もあるとも。予防とストレスを溜めない生活を心がけたい。

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