安倍晋三元総理の三回忌。
そうか、もう2年という歳月が経(た)ってしまったのか。
「日本は世界は、最も必要な時に、最も必要な人を喪ってしまった」
ぼくは2年前にそう書いた。
日本政治の現在の混乱、ウクライナ戦争やパレスチナの終わることない紛争を見るにつけ、この思いを深くするばかりだ。
6月30日、日曜日の午後、芝・増上寺で、安倍家による「三回忌法要」が執り行われ、ぼくも出席した。
法要の後、隣の東京プリンスホテルで直会。
岸田文雄総理、菅義偉前総理夫妻、そして車椅子の森喜朗元総理。櫻井よしこさん、加藤康子さん、金美齢さんなどの顔も。
同じテーブルには岩田明子さん、小川榮太郎さん……。ぼくの左隣は安倍総理の盟友、荒井広幸さん(元衆院、参院議員、内閣官房参与)だった。
菅前総理は月刊『Hanada』8月号のインタビューでも話されていた『フィナンシャル・タイムズ』の記事を紹介。
「日本人は安倍総理に感謝すべき」と。
森元総理は、現在の政界の微妙な状況にも触れながら、最後に、
「お墓というものは人々の心をひとつにします。昭恵さん、寂しいかもしれないけれど、たまには油谷のお墓の前で、歌でも歌ったらいい。そうすれば元気が出ますよ」
いかにも森元総理らしい、温かい励ましの言葉だった。
そして、最後、昭恵さんの挨拶に泣いた。
「早いもので、あっという間の2年でした。初めの頃は現実を受け止めることができませんでしたが、最近、ぼちぼち、取材を受けたりして、主人のことを思うことが多くなりました。
生前には知らなかった主人のことをいろいろ知り、ほんとうに多くの人に愛された素晴らしい人だったんだ、こんな人と私は結婚してたんだと感謝の気持ちでいっぱいです」
最近になってやっと遺品の整理をする気持ちになったとも。
「ボチボチと家の片づけをし、古いアルバムなど見ながら、こんなこともあった、あんなこともあったと、いろいろと思い出しているところです。
気がつくと、まだ電源を切ってなかった主人のパソコンが、たまについています。
これはどういうことなのか、もしかしたら、主人は生きてるんじゃないかな、なんて思いながら、主人の遺品を整理しているところです」
月刊『Hanada』今月号のインタビューでも、最近、よく泣いていると仰っていた昭恵さん、涙ぐんでいた。
「今、世界は大変な状況にあります。日本がしっかりしなくては世界は平和にならない。私はそう信じています。
以前、森総理が『日本は神の国』と言われて、大変な問題となったことがありましたけれど――」
会場に笑いが。
森元総理の目の前で、こんなことを言えるのが昭恵さんだ。
「私も森総理と同じく日本はまさしく『神の国』と思っておりますので、そのことを広く伝えていきたいと――。
皆さま、機会があれば山口のお墓にもぜひ、お参りいただければ嬉しく存じます」
「次は七回忌か。ぼくはもう出られないかも」と、つぶやくと、隣の荒井広幸さんが、
「いやいや、ぜひ出てください」
当たり前だけれど、安倍元総理を好きな人ばかりの会場。終始、なごやかで、良い会であった。