大相撲名古屋場所4日目=17日、ドルフィンズアリーナ
9度目のかど番の大関貴景勝(27)=常盤山=が最大のピンチを迎えている。夏場所は2日目から休場したが、今場所前も満足な調整ができず。慢性的な首の痛みで頭からぶつかる鋭い当たりができずにいる。
東前頭4枚目の翔猿(32)=追手風=を突き押しで土俵際まで攻めながら、引いたのが裏目に出て送り投げを食らい、1勝3敗と序盤から黒星先行。「内容はあまり覚えていない。やるべきことをやろうと思っている。また頑張るだけ」と必死に前を向いた。
かど番の苦労をよく知る九重審判長(元大関千代大海)は「翔猿が低く潜りながらいって、うまく取った。貴景勝は最低限の目標(勝ち越し)はクリアしないといけないので、前に出ることを意識していけば。上体で取るのではなく、足を意識して取らないと」とハッパ。自身の大関在位65場所は史上最長ながら、かど番脱出も歴代最多13度を数える。同じ突き押しが武器の貴景勝に向け、「ケガが治りきっていないのが(自分とは)違うところだけど、技術のことは考えないでいいから。もう気合と根性しかない」とエールを送る。
近年の大関では琴奨菊が32場所で陥落、豪栄道が33場所で引退。今場所が在位30場所目の貴景勝も、同じく大関5年目で正念場を迎えている。4度目のかど番だった2021年秋場所では初日から3連敗も、中盤の6連勝もあり8勝で踏みとどまった経験もある。再びの試練を乗り越えたい。 (塚沢健太郎)