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日本の解き方 小泉進次郎氏の勝算と課題 自民総裁選で高い人気も討論会は要注意、思わぬ弱点が 父・純一郎氏譲りの「フレーズ」が鍵に

zakzak by夕刊フジ 2024年8月31日 10時0分

小泉進次郎元環境相は9月6日に自民党総裁選への出馬を正式表明する。世論調査で人気が高い進次郎氏だが、決選投票にもつれ込む可能性もある。選挙の構図はどうなるだろうか。

まず、自民党総裁選の仕組みを復習しよう。9月12日の告示までに、国会議員の推薦人を20人以上集める必要がある。現時点で立候補の意向があるのは12人いるが、告示までには6~8人程度に集約されるのではないか。

それでも過去最多の立候補者数となると思われる。その後、選挙期間となるが、候補者は全国各地で街頭演説を行ったり、討論会を行ったりして、政策や主張を訴える。党員投票は26日までに、国会議員投票は27日に行われ、全体の投開票は27日という流れだ。

国会議員票は党員資格のある367票となる。党員投票は国会議員数と同じ367票で、いわゆる「ドント方式」で各候補者に割り振られる。合わせて734票を各候補者がどれだけ獲得できるかとなる。

ただし、1回目の投票で過半数を得る候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われる。今回、立候補数が多いのでその公算が大きい。

決選投票は、国会議員が改めて1人1票で367票に加え、全国47の各都道府県連にも1票ずつ割り振られ、合わせて414票で争われる。

この仕組みを見ると、国会議員票のウエートが高いが、自民党総裁を選出後、10月の臨時国会で首相指名、その後に解散総選挙が控えているので、国民に人気が高く、党の顔になるような総裁が選出されるだろう。誰が総裁になっても、「ご祝儀」で自民党への国民の人気は高まるだろうが、それを最大限にしたいと自民党の国会議員は思うはずだ。

各種の世論調査では、進次郎氏と石破茂元幹事長、高市早苗経済安保相の人気が、一般でも自民党支持層でも高い。

現時点では、自民党総裁選は、「本命」進次郎氏、「対抗」高市氏、「穴」石破茂というところだろうか。

今後の選挙戦も街頭演説だけであればボロが出にくく、進次郎氏の人気が続く可能性が高い。ただし、討論会は要注意だ。政策の中身について他候補からの質問もあり、思わぬ弱点がさらされるかもしれない。

進次郎氏は、環境相の時に、さまざまな弱点が露見した。経験不足を指摘する声もある。

もっとも、父の純一郎氏も、首相になる前には「郵政民営化」しか、めぼしい政策はなかった。筆者が官邸で見聞きした範囲であるが、郵政民営化以外の案件では「うん」「わかった」「任せる」の3つしか発言しなかったという。それでも、郵政民営化を各種改革のシンボルとし、拉致被害者の奪還などの改革姿勢で、長期政権となった。

進次郎氏の場合、純一郎氏との対比でいえば、「自民党をぶっ壊す」「民でできることは民で」などの、シンプルで汎用(はんよう)性のあるフレーズを作り出せるかどうかだろう。それができれば総裁の座は近いのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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