「シティポップ・スタジオ」<BS朝日、10日午後9時~>
1970~80年代に流行した洋楽風の都会的で洗練されたサウンドが特徴的なシティ・ポップ。この独自のジャンルが、日本の音楽シーンを唯一無二なものへと成長させていった。
今、そのシティ・ポップが日本だけでなく、世界的に受け入れられている。しかも、海外のファンの強い思いで、日本国内にも逆輸入されている状況だ。日本人として誇らしくもあり、悔しくもあるのが正直なところ。しかし、「曲の良さ」が再評価されていることはやっぱりうれしい。
番組では、そんなシティポップを代表する、鈴木康博、南佳孝、小比類巻かほる、池田聡ら11組のアーティストが集結し、スタンダードナンバーから〝隠れた名曲〟をスペシャルバンドの生演奏とともにお届けする。作詞家の松本隆氏と出演者が繰り広げるトークコーナーも必見だ。
伊藤銀次/杉真理/佐藤竹善による「A面で恋をして」は、ほぼナイアガラトライアングルだろう。今は亡き松原みきの「ニートな午後3時」を歌うのは小比類巻かほる。「ニュアンスしましょ」(香坂みゆき)や「モノクローム・ヴィーナス」(池田聡)を本人歌唱で聴けるのもうれしいところだ。
オフコースの名盤「We are」収録の名曲「一億の夜を越えて」を歌うのは当然、鈴木康博で、「せつなくて」はやっぱり松尾一彦の声でないとピンとこない。アルバムB面の1、2曲目で、聴き手としてはたまらないものがある。
少々余談だが、オフコースには、恩讐を超えてメンバー5人で再結集してほしいと思ってやまない。82年のライブで聴かせた「きかせて」の名コーラスは、あの5人でなければ生み出せないものだろう。残念ながら当時コンサートに行くことができず、後に映像で見た人間としては、5人のオフコースの生ライブを体感したくて仕方がない。紅白でもいいから、実現しないものだろうか。 (F)