年内にも一部実施へ
セブン&アイ・ホールディングスが、イトーヨーカ堂など傘下のスーパー事業について、投資ファンドなど外部へ株式を一部売却する方針を検討していることが分かった。セブン&アイにとってヨーカ堂は「祖業」だが、年内にも売却手続きを進め、経営を外部に委ねることを決断する。ヨーカ堂は各地で店舗の閉鎖が相次いでいるが、今後はどうなるのか。
セブン&アイはヨーカ堂やヨークベニマルなど傘下のスーパー事業を束ねる中間持ち株会社を設立し、2027年度以降に株式上場する方向で検討を進めると発表済みだが、その前段階として株式の一部売却を実施する方針だ。関係者によると、ファンドなどに売却に関する初期の打診があったという。株式は一定程度の保有を続け、コンビニの食品開発などで協力する。
買収提案も背景に
セブン&アイがカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けていることも背景にありそうだ。セブン&アイは9月、買収に賛同できないとする書簡を送付したが、クシュタール側は買収をあきらめていないもようだ。
セブン&アイとしては、スーパー事業の早期売却で企業価値を高めることで、買収のハードルを高くする狙いもうかがえる。
ヨーカ堂は24年2月期決算の純損益が259億円の赤字だった。4年連続の赤字を受けて、北海道や東北、関東などで33店舗の閉鎖を決めている。外部の資本を活用してスーパー事業立て直しを加速することで、閉鎖ラッシュが止まるのかも消費者としては気になるところだ。