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ニュース裏表 安積明子 自民党を襲った新たな「疑惑」 広瀬めぐみ議員に公設秘書の給与詐取容疑、離党だけで責任を果たしたことになるはずがない

zakzak by夕刊フジ 2024年8月7日 11時0分

広瀬めぐみ参院議員=自民党離党、岩手選挙区=の自宅や事務所が7月30日、東京地検特捜部に捜索された。

2022年12月から23年8月まで公設第2秘書の給与を詐取した容疑だが、いまだに国会議員がこんなことをしていたのが事実なら、あきれ果てるしかない。

報道では「広瀬氏は当選1期目で、事務所運営に苦労していた」という。だが、広瀬氏のホームページによると、事務所は家賃と水道光熱費の負担がない参院議員会館と岩手県盛岡市内の2カ所のみのようだ。

こうした事務所運営の費用には、歳費(給料)とは別に支給される月額100万円で非課税の旧文通費が充てられることが多い。政策秘書と公設秘書2人の給与が国庫から支払われても足りなかったのか。

広瀬氏の〝問題行動〟も話題になった。

例えば、自民党女性局の「エッフェル塔写真」問題だ。昨年7月のパリ研修で、エッフェル塔の前で、参加メンバーが記念撮影した写真が批判を浴びたが、広瀬氏は豪華な食事をSNSに掲載して「贅沢三昧」と糾弾された。今年2月には、週刊誌がカナダ人のサックス演奏者との不倫問題を報じ、「赤ベンツ不倫」と揶揄(やゆ)された。

周囲は、広瀬氏に困惑を深めていたようだ。〝エッフェル騒動〟直後の23年9月に行われた岩手県知事選で、広瀬氏は前県議の千葉絢子(じゅんこ)候補を応援した。関係者からは「広瀬氏が来ると票が減る」との声が上がっていたという。

東京地検特捜部による家宅捜索で、自民党はすぐ広瀬氏を離党させた。

洋上風力による受託収賄罪で逮捕・起訴された秋本真利衆院議員も、派閥の政治資金パーティーをめぐる政治資金規正法違反事件で逮捕・起訴された池田佳隆衆院議員も、自民党は責任を回避するように即離党させている。

「政治家の進退は本人が決めるべきだ」という理由のようだが、秋本氏も池田氏も逮捕されて議員としての職責を果たせなくなってなお、歳費や期末手当(ボーナス)を受け取っていた。

そもそも、自民党が彼らを公認しなければ、こうした「カネ」も「特権」も手に入れられなかったと言える。にもかかわらず、「本人が離党すれば関係ない」では、あまりに無責任ではないか。

憲法は国会議員に不逮捕特権や、国会での発言に対する免責特権、歳費受領権を保障しているのは、議員の職務遂行に障害をきたさないためである。違法行為を保護するものではないはずだ。

離党だけでは責任を果たしたことになるはずがない。疑惑の議員本人も、彼らを生み出した政党も。 (政治ジャーナリスト・安積明子)

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