米国に続いて欧州連合(EU)も中国製電気自動車(EV)を狙い撃ちする。EU欧州委員会は12日、中国のEVメーカーが当局から「不当な補助金を受け取っている」として、中国から輸入されるEVに最大38・1%の追加関税を課す方針を発表した。現行の10%に上乗せされ、最大48・1%となる。中国側は強く反発し、報復関税などの対抗措置を取る構えで、欧米との対立が激化しそうだ。
EUと中国側との協議が不調に終われば7月4日から関税引き上げを実施する。税率は欧州委の調査への協力姿勢によって異なり、中国EV最大手の比亜迪(BYD)は17・4%になる。中国に生産拠点を置き、欧州に輸出する米テスラも対象となる。
中国製EVをめぐっては5月に米国が制裁関税強化を発表、8月に税率を現行の25%から100%に引き上げる。
中国商務省は12日、EUの発表に「強烈な不満」を表明するとの談話を発表。「全ての必要な措置を断固として講じる」と対抗姿勢を示した。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は5月、大型エンジンを搭載する輸入車への追加関税を求める専門家の声を伝えた。また、EVに不可欠な部品や素材などで中国からの輸入に頼るものも多く、禁輸など報復措置に出る可能性もある。
中国企業がEVや太陽光発電設備を不当に安い価格で輸出している問題は、13日からイタリアで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)で議論される。日本も対応は急務だ。