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トップ直撃 レバレッジ・只石昌幸CEO フィットネスブランド「VALX」展開 プロテインで「一番目指す」高い成分含有量、おいしさに自信

zakzak by夕刊フジ 2024年7月23日 6時30分

「筋トレ」人口が2000年以降、増加傾向にあるなか、効率的にタンパク質を摂取できるプロテインも一般に定着してきた。高品質でおいしいプロテインやサプリメントなどのフィットネスブランド「VALX(バルクス)」で急成長している企業がレバレッジだ。「何をやるにも一番を目指す」という創業者の只石昌幸CEO(48)の半生は、高給で知られる企業への就活、極真空手やパーソナルトレーニングとの出合い、ユーチューブを使った独自のマーケティングなど、とにかく型破りだ。

高い成分含有量 おいしさに自信

――どのような事業を行っていますか

「プロテインやサプリメントを扱う『VALX』というブランドを展開しています。そこでは世界観を一番大事にしていて、バルクスのプロテインを摂取するたびに『よし、今日もがんばろう』と背中を押せるようなブランドにしたかったんですよね」

――製品の特徴は

「プロテインの成分の含有量については十分な量を入れているので、トレーナーさんたちが製品を手に取ったときに、『これ本当に中身すごいよね』と勧めてくださるんですよね。原価率は上がりますが、インターネット広告にコストをかけない戦略で実現できました」

――味にも力を入れているそうですね

「プロテインは無理なく毎日飲んでいただくことが重要なので、生活習慣に組み込みやすいよう、おいしさと溶けやすさにこだわっています。味についてはチョコレートが大人気です。なぜバルクスのプロテインがおいしいのかというと、情熱、本当にいいものを作ろうという、うちのスタッフたちの姿勢だと思います。そこはバルクスの財産ですね」

広告費をかけずユーチューブから市場立ち上げ

――マーケティングも独自の手法のようですね

「ユーチューブから始まったブランドなんです。パーソナルトレーナーのレジェンドといわれる山本義徳先生に製品を監修していただいているんですが、真っ先にやったことは筋トレに関する情報提供でした。最新の知識や論文から得られた知見を含めて半年間、一切製品の告知をすることなく、トレーニングでパフォーマンスがどう上がるのか。栄養や食事、睡眠についての情報なども無料でどんどん出していきました。そして半年後にサプリメントの『EAA9』、1年後に『WPIプロテイン』を発売すると、広告をかけずにいきなり市場が立ち上がりました」

――プロテインを手掛けるようになったきっかけは

「経営者として迷いが生じていたころ、先輩経営者の勧めで極真空手の道場の門をたたきました。最初は厳しい稽古についていけなかったのですが、筋肉を鍛えれば試合で勝てるといわれたんです。そしてジムに入ってパーソナルトレーナーという存在を知りました。そこでパーソナルトレーナーのマッチングサービスを始めたところいきなり当たったんですよね。トレーナーの方々にも感謝されて、もっとトレーナーの収入を増やしたいと、物販のためプロテインの開発を始めたというわけです」

――販路は直販のみですか

「直販にこだわっていましたが、ドン・キホーテさんの店舗での取り扱いも始まりました。リアル店舗での販売をきっかけに多くの人に届けることができるようになりました。ドン・キホーテさんはインバウンド(訪日客)の方々にも強いので、海外の方に届けるという狙いもあります」

――海外展開は

「香港で期間限定で出店して大盛況でした。『これって本当にプロテインなの』『プロテインってこんなにおいしいんだ』という反応でした。海外はまずはASEAN(東南アジア諸国連合)で展開し、最終的には、フィットネスの聖地であるアメリカ西海岸のロサンゼルスでプロテインショップを出したいんですよね」

――プロテインやサプリメント以外の商品も

「いろんな可能性があると思います。睡眠、運動、栄養の3つは人間の進化のベースとなるものだと考えています。これらを全て上質にするような取り組みをしていきたいですね」

【会社メモ】プロテイン、サプリメントなどフィットネスブランド「VALX」の製造・販売事業やフィットネス事業を手掛ける。本社・東京。2006年設立、16年にパーソナルジムとユーザーのマッチングサービス「ダイエットコンシェルジュ」の運営を開始。19年にVALXブランドのプロテインの販売を開始する。23年10月期の売上高は74億円。

極真空手、パーソナルトレーニングとの出会いが転機

【中学教師】中学3年の担任の教師から「お前は頭がいいのにもったいない」と言われたことが原点だという。

「このたった一言から勉強を始めて、県内で一番の高校に合格しました。誰かの一言で人間って変われるんですよね。私も誰かの人生のきっかけになりたい。誰かの人生に寄り添いたいというのが根底にあります」

壁に「打倒キーエンス」

【就活】大学時代は「就職氷河期」だったが、制御機器大手で高賃金企業として知られるキーエンスに入社した。

「資料に『平均年収1600万円』と書いてあるのを見た瞬間から火が付き、キーエンス1社だけを受けました。キーエンスに関する本を買い、カッターで切って壁一面に貼って、壁にマジックで『打倒キーエンス』と書き込みました。OB72人に会って分析して、キーエンスが欲しい人間に限りなく近づきました」

【退職】しかし、入社後の成績はふるわなかったという。「入社後、BMWのオープンカーを買うなど天狗(てんぐ)になっていたのですが、成績はビリでした。僕が唯一、心を許していた上司から、『お前はすごくクリエイティビティーがあって、もったいないから外に出たほうがいい』と言われて3年で退社しました」

【独立】キーエンス時代の貯金も底を尽いたころ、「自分は何もないと受け入れるようになってから、人に聞くということができるようになりました」という。

そこで取り組んだのが当時流行していたブログだった。「新規開店に特化したレストランブログを始めました。お店がテレビなどに出ると、みんなが検索して僕のブログにたどり着くというわけです。前半を自分のストーリー、後半を店の情報にすると記事のリピート率が増え、グルメブログのジャンルで日本一になりました。SNSの威力を知りましたね。その後も何をやるにも圧倒的に一番を目指しています」

【家族】妻と長男。「妻(只石布久美さん)と出会ったのは私が無職だったときですが、『あなたは絶対できる』って言い続けてくれました。それがほとんど現実になっています」

布久美さんも夢を現実にしたという。「妻がインスタグラムに自分で撮影した写真を投稿していたら、海外の人たちから『いいね』がたくさん付いていたので、『本格的にカメラをやってみれば』と言ったんです。1日1000回シャッターを押すことを自分に課して、それを続けたら、3年でパリコレのカメラマンになりました」

【空手】37歳から「新極真会」で空手を始め、2021年に黒帯に昇段。シニア部門で世界8位に輝いたこともある。

■只石昌幸(ただいし・まさゆき) 1975年10月生まれ、48歳。群馬県出身。法政大学卒業後、キーエンス入社。2000年に退職後、個人事業主などを経て06年にレバレッジを設立する。16年からフィットネス領域でメディア運営を開始し、19年にフィットネスブランド「VALX」を立ち上げる。

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