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経営者目線 日本円Xデーは?「今月末にも命運が決まる」 ワタミ、銀座や京都に出店加速

zakzak by夕刊フジ 2024年7月10日 11時0分

ニッポン放送で、参院議員で元モルガン銀行東京支店長の藤巻健史さんと対談した。藤巻さんは今月末の日銀の金融政策決定会合に、「日本円の命運がかかっている」という。私もかなりの緊張感を持ってみている。今までは先延ばしてきた、異次元の金融緩和の副作用とついに向き合うことになる。

日銀は月間6兆円規模購入している国債の買い入れを減らすと表明し、今月末の会合で具体的な計画を発表する。マーケットは期待と注目を寄せているが、藤巻さんは最適な計画はないと断言する。

大規模な国債買い入れの減額計画を発表すれば、長期金利が上昇し、減額幅が小さければ日米金利差は開いたままで円安に歯止めがかからない。「相反する命題で、国債も円も両方とも暴落する可能性がある」と警告する。

金利があがれば一般的に株は下がる。最悪は「円、国債、株式のトリプル安」の大暴落もありえる。日本政府の借金は多く知られているが、世界の投資家と話していても、日銀が債務超過寸前ということはあまり知られていない。藤巻さんは日銀破綻に向けて、山の9・9合目だという。

長期金利が上がれば、日銀が保有する国債の評価損は膨らむ。現時点では、株式ETF(上場投資信託)の含み益があり、日銀は辛うじて純資産プラスだ。しかし、藤巻さんは「長期金利が上がれば株は下落し、国債と株ダブルパンチで評価損が膨らむ。日銀が債務超過となれば、外国人は普通、円を見限る」と指摘する。

藤巻さんの試算では、長期金利が0・4%上昇し、日経平均株価が4000円下がるといよいよ債務超過で、いつXデーが来てもおかしくないという。1ドル=200円超えどころではないだろう。

当然、為替介入も入るだろうが、構造的な問題は解決しない。そもそも為替介入の原資も尽きてくる。ヘッジファンドは原資が尽きるとみれば売りを浴びせてくる。藤巻さんはハイパーインフレで日本円の価値がなくなるシナリオをメインに据えている。先週、渋沢栄一の「新1万円札」が出たが、1万円では何も買えない時代がくるかもしれない。そうなるとドルでの資産防衛が重要となってくる。

ワタミもそうした「日本円の危機」を念頭に置いた経営を意識している。先日の株主総会では国内の出店戦略について質問が出た。明確にインバウンド立地のみに出店していくと答えた。銀座や浅草、京都や大阪心斎橋などで物件交渉を加速している。そうした立地で、マカオで成功している高級居酒屋「饗和民」を作る計画もある。

株主総会では、「株主優待券」について他の外食企業より、条件が悪く改善してほしいとの意見が出た。ただ、日本の政治のように目先の大衆迎合でバラマキするのでなく「しっかり利益を出して、企業を成長させて、配当を出す、それが健全な形だと考えている。短期でなく長期で見てほしい」と答えると拍手も出た。日本円の命運がかかっている正念場、岸田文雄首相も、国民に耳が痛いこともしっかりいい、説得することがリーダーの役割ではないだろうか。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO・渡邉美樹)

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