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2024年秋・衆院選 過去最多314人、熾烈!女の戦い 東京7区・くら替え丸川珠代氏「裏金」絡み苦戦必至 興味深い「外国人参政権」対決の東京18区

zakzak by夕刊フジ 2024年10月16日 15時5分

政治ジャーナリスト・安積明子氏が分析

衆院選(27日投開票)は、女性候補者数が314人で過去最多となったことも大きな特徴だ。自民党は派閥の裏金事件に絡み、比例重複を認めなかった候補の代わりに女性候補を急ピッチで擁立した。その結果、全342人の候補者中、女性が比例単独30人、小選挙区25人の計55人(16・1%)と過去最多となった。立憲民主党は237人中53人(22・4%)が女性で、与野党の女性候補が小選挙区で直接対決する構図もある。女性候補者はどのような戦いに挑むのか。政治ジャーナリストの安積明子氏に注目の選挙区や情勢分析を聞いた。

自民党執行部は、比例代表候補から裏金事件に関係した候補らを一掃したことで、名簿の空白を埋める必要に迫られた。そこでひねり出したのが、女性候補の擁立だった。党幹部は「女性官僚や経営者にかたっぱしから声をかけた」と明かす。

結果的に比例単独候補76人のうち女性は30人で、これまでで最多だった2014年の20人を大きく上回った。小泉進次郎選対委員長は「党は今後10年で女性国会議員の比率を3割にすると掲げているが、今回の候補に関しては約4割に達する」と胸を張る。

だが、安積氏は「女性候補者を増やしてイメージ回復を狙っているが、新政権の女性閣僚もわずか2人とちぐはぐだ。これまでの党の看板を背負ってきた候補者には厳しい選挙になる」と分析する。

その代表格が東京7区(港区、渋谷区)で参院からくら替え出馬した丸川珠代氏(53)だ。元アナウンサーという知名度に加え、環境相や五輪相も歴任したが、政治資金収支報告書の不記載が発覚した1人で、苦戦は必至だ。

安積氏は「知名度があれば比較的有利な参院選と違い、衆院選では自分で票の掘り起こしをしなければならない。過去の選挙演説では自身の子育てや介護の経験などの話が多かったが、同じ選挙区の候補では、前職の小野泰輔氏(50、日本維新の会)が元熊本県副知事、元職の松尾明弘氏(49、立憲民主党)は弁護士出身とあって、実務や政策論争はこれまで以上のものが求められる」と話す。

逆に、自民党のイメージが薄い新人候補は健闘する可能性が高いと安積氏はみる。東京18区(武蔵野市など)の新人で元農水省職員の福田かおる氏(39)は立憲民主党の新人で前武蔵野市長の松下玲子氏(54)らと争う。

「菅直人元首相の地盤を受け継いだ松下氏は市長時代、外国人にも投票権を認める住民投票条例案を提出し、波紋を呼んだ。福田氏は今月11日の公開討論会で、外国人参政権に反対の立場を強調しており、対決は興味深い」

公明党で小選挙区唯一の女性候補は大阪16区(堺市の一部)の新人、山本香苗氏(53)だ。公明の牙城に初めて日本維新の会が乗り込み、立憲民主党と三つどもえの構図だが、参院からくら替えした山本氏は「厳しい戦いになる」と安積氏は話す。

早稲田氏・神奈川4区、堀場氏・京都1区に注目、有本氏・比例東京は初出馬

立憲民主党の女性候補では、神奈川4区(横浜市の一部、鎌倉市など)で前職の早稲田夕季氏(65)が優勢とみる。

神奈川20区(相模原市の一部など)の新人、大塚小百合氏(44)は同選挙区の自民党前職、甘利明元幹事長(75)の「不人気が幸いしている」と安積氏。

東京8区(杉並区)では党代表選にも出馬した前職の吉田晴美氏(52)が優勢だという。

東京15区(江東区)では4月の補選で初当選したばかりの前職、酒井菜摘氏(38)だが「今回は厳しい」。補選で次点だった元参院議員の須藤元気氏(46、無所属)が優勢とみる。

安積氏は日本維新の会で女性候補が出馬している注目選挙区に京都1区(京都市の一部)を挙げる。前職の堀場幸子氏(45)については「維新に合流した前原誠司氏(62、京都2区)がどれだけ地元で維新の勢力を伸ばせるかが鍵を握る」と話す。

日本保守党は、事務総長でジャーナリストの有本香氏(62)が比例東京の名簿1位で初出馬している。有本氏は15日の街頭演説で「北朝鮮による拉致問題や外国資本による不動産買収など真面目にやっている政党はない。新しい選択肢を増やしましょう」と支持を訴えた。

前出の安積氏は、公示前の石破茂首相(自民党総裁)の街頭演説を聞いた際、「演説を配信するユーチューバーがほとんどおらず、アンチの姿も見られなかった。今回の選挙に対する有権者の熱のなさを感じた気がした」との印象を持ったという。

女性候補の戦いが選挙戦に熱を加えるだろうか。

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