日本と比べて圧倒的に景色が映えるパリの街。その一角にあるのが「ＫＯＤＡＷＡＲＩラーメン」だ。６年前にオープンし、現在は市内に２店舗を構える。各店で１日約７００食出るラーメンは特に塩味が人気だ。日本人よりも地元住民が熱心に通っており、店前には常に行列。長いときは１時間半待ちだ。
昨年まで東京・駒込に語学留学していたという接客係の男性によると、店を切り盛りするのはフランス軍のＯＢたち。調理場にいるスタッフの体格の良さも納得だ。退役後に日本を観光したときに食べたラーメンの味が忘れられず、皆で料理学校にも通って研究を重ね、こだわりの一品を完成させたという。先週は「塩鯛ラーメン」、今週は「塩鶏ラーメン」を試したが、塩と魚介系が混ざったスープにトッピングの煮卵、チャーシューも絶品。日本でも十分勝負できるレベルだ。
築地市場や屋台をモチーフにした店内で麺をすすりながら、流れるＢＧＭに耳を澄ませると、「新宿～」「各駅停車三鷹行きが参ります～」…。なんとＪＲの駅ホームのアナウンスを流し、舌や目だけでなく耳まで日本の雰囲気で満たしてくる徹底ぶりだ。胃袋は満たせたが、にわかパリジャンの気分が吹き飛んだのは言うまでもない。 （山戸英州）