副業を解禁する企業が増えていますが、ミドルシニア世代の中には副業に抵抗感を持つ人がいるようです。「会社とは別の仕事をこっそりやって収入を得ること」という認識があるのかもしれません。
そういう捉え方はリセットし、これまで経験してきたことを将来のキャリア形成につなぐものとして副業を検討してはどうでしょうか?
なぜなら、ミドルシニアにはまもなく今の会社を離れる時期がくるからです。そのとき、会社以外の世界でのビジネス経験や肩書がない人は、新しい環境にチャレンジしにくくなるのです。
会社外で自分の経験を生かせるプロジェクトに従事し、自分の力で収入を得る経験を積む。その経験を人生後半のキャリア構築に生かす。そのために副業を行う、と考えるのはいかがでしょうか。
もちろんボランティアでもよいのですが、会社以外の場で、仕事に見合った報酬を受け取るのも大切な経験です。さらに、プロジェクトに貢献し、個人としてお礼を言われるのは大きなモチベーションになります。仕事への意欲が高まり、本業にもいい影響があるかもしれません。
しかし、多くのミドルシニア層は「自分の経験を生かせる副業なんてない」と思っているようです。そういう人に一度見てもらいたいのが、将来のキャリア形成に役立つような副業案件を多く掲載しているリクルートの「サンカク」というサイトです。その中でミドルシニア層に検討してもらいたいのが「ふるさと副業」(https://sankak.jp/fukugyo)です。
リクルートのサンカクグループ責任者、古賀敏幹(としき)さんに話を聞きました。
「地方にも優良な中小企業がたくさんあります。サンカクのふるさと副業には、経験豊かなミドルシニアの力も借りたいという中小企業からの副業募集案件が掲載されています」
同コーナーには、オフィスワーカーとして働いてきた経験を生かせそうな案件が多く見られます。例えば「経営層の人事周りの相談役」や「法人顧客向けの営業戦略の立案」などです。案件には「月額5万円」など報酬が明記されているものが多いようです。
「オフィスワーカー層向けの募集が多く、単なるボランティアでなく、ちゃんと報酬を支払う案件がほとんどです。首都圏、関西圏の経験豊かなミドルシニアの力も借りたいという地方の優良な企業はたくさんあります。リモートワークOKの案件も多いですね」
古賀さんは中小企業の社長の課題や悩みをじっくり聞いてくれる人、つまり「傾聴力」のある人が向いていると話します。経験を積んだミドルシニアには打って付けの副業かもしれません。
「いきなり応募というのではなく、座談会で顔合わせからスタートする募集案件もあります。まずは話を聞いてみるという方法もおすすめします」
もし、ふるさと副業で新たにどこかの地域とのつながりができれば、定年退職以降に「新しい居場所」ができるかもしれません。
■藤木俊明 副業評論家。自分のペースで働き、適正な報酬と社会とのつながりを得ることで心身の健康を目指す「複業」を推奨。著書に『複業のはじめ方』(同文舘出版)など。