生けるレジェンド、なんて言うと本人は嫌がるかもしれないですが、いつまででも生きていてほしいと切に願うハリウッドの超大物、クリント・イーストウッド。今年94歳。落語の世界なら大名人といったところでしょう。
そんなクリント・イーストウッドの監督としての最新作「クライ・マッチョ」がU―NEXTで配信中でございます。そうそう、大事なことを伝え忘れました。この映画、イーストウッドが主演も務めています。最近は体力的なものもあるんでしょうが、監督はやっても役者としては出ないというパターンが多かったので、これはぜひ見ておきたい作品。
舞台はアメリカ、テキサス。ロデオ界のスターだったマイクは、落馬事故以来、数々の試練を乗り越えながら孤独な暮らしを送っていました。そんなある日、マイクは元雇い主から、別れた妻に引き取られている10代の息子・ラフォをメキシコから連れ戻してくれと依頼され…。
私がイーストウッドにグッときてしまうのは、江戸っ子みたいなところがあるからなんですよ。江戸っ子とは何かと言うといろいろあるんですが、痩せ我慢の美学というものがあります。心の中では泣いていても、それをまったく表には出さないんです。
イーストウッドがメキシコで追われる中、ある女性とちょっとした恋仲のようになります。が、やむを得ず旅立たなくてはならなくなるのです。そこでの振る舞い! とにかく何か言葉を尽くせばいいってものではないということを教えてくれます。対する女性も言葉に表れていなくてもちゃんと相手の気持ちをわかっているのです。その大人の男と女のやり取り、こういうのが映画の素晴らしいところです。
ま、それがわかる私も大人だってことでいいでしょうか?
落ちぶれた元カウボーイと少年の旅を通し、本当の強さとは何かを示してくれます。池波正太郎先生の「男の作法」みたいなもんですぞ! (立川志らべ)
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