１１月の米大統領選で返り咲きを目指すドナルド・トランプ前大統領（７８）とコンビを組む副大統領候補として、Ｊ・Ｄ・バンス上院議員（３９）が、開催中の共和党大会で指名された。トランプ陣営のスローガン「米国を再び偉大に（ＭＡＧＡ、マガ）」を信奉する急先鋒（せんぽう）で、トランプ氏の家族との親密さが評価されたとみられるが、一部政策ではトランプ氏以上に「過激」で警戒の声も上がっている。
「副大統領として憲法のために闘い、軍とともに立ち、米国を再び偉大にするのを助けるためにあらゆることをする」
トランプ氏は、自身のＳＮＳへの投稿で、バンス氏を決めた理由をこう明かした。
バンス氏は、産業空洞化で「ラストベルト（さびた工業地帯）」と呼ばれる地域の一角、中西部オハイオ州の貧困家庭に育った。白人労働者の悲哀を描いた著書「ヒルビリー・エレジー」がベストセラーとなり脚光を浴びた。２０２２年の連邦上院議員選では、トランプ氏の後ろ盾を得て初当選した。トランプ氏の長男、ジュニア氏との親密関係でも知られている。
政策的には「保守強硬派路線」を取る。ロシアの侵攻が続くウクライナ問題では、同国への軍事支援継続に「もうたくさんだ」と不満を表明したこともあり、トランプ氏以上に「過激」な立場を取るとの見方もある。
ロイター通信は、ウクライナ支援に反対姿勢を示すバンス氏が副大統領候補に選ばれたことを受け、「欧州当局者の間で警戒感が強まっている」と伝えた。