【リヨン(フランス)2日(日本時間3日)=山戸英州】サッカー男子日本代表は準々決勝で、東京五輪銀メダルのスペインに0―3で敗れた。
先制を許した前半に細谷(柏)がゴールネットを揺らしたものの、オフサイド判定で得点は認められず、後半2点を失って終戦。直後のテレビインタビューの途中で「このチームを振り返って」と問われると、大岩剛監督(52)はうつむいて感極まった表情を浮かべ、言葉にならないまま次の質問を促した。
時に涙は言葉より雄弁だ。今回の五輪代表は、あてにしていた年齢制限のないオーバーエージ枠の候補にことごとく断られ、出場全チームで唯一、23歳以下の選手だけで編成。さらに五輪予選で主力だった鈴木(ブレンビー)、松木(サウサンプトン)も所属クラブ優先で呼べなかった。
それでも3戦全勝で1次リーグを突破し、「多少評価が低い中で五輪が始まり、勝つことで注目されるようになった。それに流されず、ブレずにやれたのは自信になると思う」と選手たちの奮闘を称えた大岩監督。「いろんな障害はあったが…選手がね…成長したと思います」と言葉を継ぎながら遠くを見つめて涙をこらえるも、「若い選手たちなんでね。いろんな…だめだね…」と思いがあふれた。
未完成の若手だけで五輪を戦い抜き、「賛否あると思うが、ものすごく価値があると思う。試合に負けたのでどこまで選手も自信がついたか分からないけど、サッカー人生に少しでも頭に残る大会、チームだったらうれしいな」と指揮官。貴重な経験は未来につながる。志半ばでのチーム解散に際し、選手には「もっと強くなって、A代表でみんなが顔を合わせるように」とはなむけの言葉を贈った。
数々の苦難を経て結束したチームに選手たちの思い入れも強く、GK小久保(シントトロイデン)は「自分にとって苦しい時期にみんな助けてくれた」と振り返り、主将を務めた藤田(同)も「最後までみんなに助けられた」と感謝していた。
▽準々決勝
日本 0 ― 3 スペイン
(0―1)
(0―2)
【得点者】▼ス=F・ロペス(前半11分、後半28分)、ルイス(後半41分)