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久住昌之 するりベント酒 納豆巻きを中心にアラカルト弁当 迷って迷ってカゴに入れ…あまりのチグハグさに苦笑いも なかなかどうして、いいチョイス

zakzak by夕刊フジ 2024年8月4日 10時0分

この連載の締切の日が来たので、午前中のスーパーに弁当を買いに行った。

でもボクはこの日結構疲れていて、頭が回らない。

「この弁当も買ったし」「これは食べたくないし」「これは原稿になるかなぁ」「握り寿司は書いてないけど、今食べたくないなぁ」

とか頭の中で言いながら、全然決まらない。優柔不断もいいところだ。だけど何か買わないとならない。

「国産大豆の納豆巻き6巻」というのが168円であった。「よし、これをごはんのメインにして、周りを何かのおかずで固めよう」

ということにして、カゴにそれを入れてしまった。

それから5~6分か7~8分か、あれでもないこれでもないと迷って迷って、カゴに入れたのが写真のセットだ。「国内産鶏もも柔らか幽庵焼き」207円と、「キャベツ甘塩和え」20円引きで178円。

で、うちに帰ってきてテーブルに並べて、あまりのチグハグさに苦笑いした。行き当たりばったり定食である。

納豆巻きに鶏焼きって、どうよ。さらにキャベツが好きだからって「キャベツ甘塩和え」がメインの海苔巻きよりより大きい。どう食い進むつもりだ。

まず納豆巻きに醤油をピピッとかけて、一個食べてみた。

うん。まあ、普通に、おいしい。ボクは納豆巻き大好きだ。あまり食べる機会がないけど。

そこからの鶏。「幽庵焼き」って初めて聞いた。別に普通の焼き鶏に見える。あ、でも柔らかくておいしい。タレがあんまり甘くなくて、いい。

で、キャベツ。あ、これはうまい。味が薄めで、ボクにはいくらでも食べられるやつだ。この量は問題ない。遠慮せず勿体ぶらずワシワシ食べられる。

ここで納豆巻きに戻るのが、ちょっと違和感がある。寿司とキャベツって。でもまあ、人間、自炊してたらこんなメチャクチャな取り合わせよくやるもんだろう。なんだかこの雑な一食が、自然な気がしてきた。ちょっと切ない。そんなことないか。

鶏肉がホントにおいしい。切ってあるのも好ましい。そんで、このシシトウがパリパリで風味たかし!もう2本ぐらいあってもよかった。でもこの幽庵焼き、使える。パン食にも合うんではないだろうか。いいものを見つけた。

そして納豆巻きの付け合わせの酢生姜が、なかなかお口直しの役に立つ。量をケチってないのが嬉しい。

キャベツをモリモリ食べる。メインの寿司より大きいと書いたが、キャベツメインでいい。

チグハグな弁当に見えたが、なかなかどうして、途中で飽きも来ないし、食後の満足感もまずまず。ボンヤリしながらも、我ながらいいチョイスだったと思う。

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(マンガ家、ミュージシャン・久住昌之)

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