楽天・田中将大投手(36)が24日、野球協約の制限(年俸1億円以上は40%)を超える減額提示にサインせず、退団して新天地を目指すと表明。レジェンドと悲劇的な決別に至った球団にOBから批判が上がる一方、国際大会「プレミア12」決勝直前の発表で日本代表側にも困惑が広がった。
楽天が来季も引き続き独占的に契約対象にできる「保留選手名簿」に田中将を記載しないと発表したのは、この日夕。ほどなく本人も公式ユーチューブチャンネルに「ご報告」と題した動画を投稿し、「楽天と来季の契約を結ばず新たなチームを探すことに決めた」とときおり深いため息をつきながら明らかにした。
メジャーから年俸9億円の2年契約で2021年復帰も、通算197勝で臨んだ今季0勝に終わり、節目の200勝特需や引退興行も実現しないまま退団に。
田中将と親交が深い楽天OBは「そういうことをフイにしてでも切る覚悟だったってことでしょ。ただ、功労者にふさわしい伝え方だったのか気になる」と指摘。交渉にあたった石井シニアディレクターは、今季年俸2億6000万円から大幅減俸を提示したところ、「最後は本人から自由契約にしてほしいということだった」と経緯を説明した。
別のOBは「せめて発表を1日待てなかったのか。侍ジャパンの決勝当日に水を差して、本人も球団も恥ずかしくないのか。球団は田中が帰ってきてから終始、コントロールできなかった印象だ」と別の角度から苦言を呈する。決勝会場の東京ドームでも、「なんでこんなタイミングで出すのか理解に苦しむ。田中もシーズン後まで代表で頑張っている後輩たちの気持ちが考えられないのか」と代表関係者が不快感を示した。
日本が大会連覇を逃したことで、球界への配慮に欠けた水差しは集中砲火を浴びずに済んだが、楽天で制御不能だった田中将を受け入れようという球団は出てくるのか。 (山戸英州) =金額はいずれも推定