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岩本勉 どの口が言うとんねん 大谷翔平、なぜこれほど活躍できるのか 二刀流封印で野手としての全能力をフルに発揮、2年連続本塁打王や3冠王も視野

zakzak by夕刊フジ 2024年7月11日 6時30分

リハビリ中なのを忘れていませんか?

まいど! 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)は28本塁打でナ・リーグのトップをひた走っています。7日(日本時間8日)のブルワーズ戦では2盗塁を決め、2年連続3度目の20本塁打&20盗塁に到達しました。打って、走って、ダイヤモンドで躍動する姿を見ていると、ついつい忘れそうになりますが、大谷はまだ右肘手術からリハビリ途上の身です。万全とはほど遠いコンディションで、なぜこれほどのプレーができるのか、その一端を紐解いてみましょう。

打撃&盗塁で相手に重圧

今季の大谷を見ているとリハビリの影響は感じられず、昨年9月下旬の手術から9カ月余が経過して傷は癒えていると考えられます。キャッチボールをしている映像を見ても、かなり強く投げる場面もあります。リハビリはかなり進んでおり、現在は出力を出し過ぎないようにアクセルを調節しながら、徐々に強度を高めている段階にあるようです。ブルペンの傾斜を使って投げる時期も、そう遠くないかもしれません。

投手との二刀流を封印している分、今季は野手としての全能力をフルに発揮できていると感じます。元プロの投手として「大谷の強烈なスイングとどう対戦するか?」と質問されることは多いのですが、正直一番困る質問なんです(笑)。だって、これまで全く未経験のものを見せられているんですよ! 過去の強打者との比較や類型の選手と照らし合わせて、対策を練るということが全くできません。

インハイの速球をやや苦手にしてはいますが、高さを間違えると中堅バックスクリーン弾を浴びます。外角の変化球は巻き込んで右中間に運ばれるし、速球なら逆方向に持っていかれます。全てのコースを柵越えされるという恐怖と常に向き合わなければなりません。

「四隅の臭いところを突いて最悪、四球でOK」という考え方も、二盗、三盗を連続で決めた7日の試合を見れば愚策と分かります。今の大谷は打席でも塁上でも、常に相手にプレッシャーを与え続けることができるプレーヤーなのです。

現在の成績をシーズン換算すると49・8本塁打で35・6盗塁。メジャー史上6人目となる「40本塁打・40盗塁」も夢ではありませんし、史上初の「50本、30盗塁」の達成も期待できます。これまでのキャリアハイの盗塁数は26ですから、更新は確実とみていいでしょう。これは私の想像なのですが、ケガをして自身の体ともう一度向き合い体の使い方を総点検した効果が、今季の盗塁増加につながっているのではないでしょうか。

自分で守ることができる

日本時代は2016年の7盗塁がシーズン最多ですが、日本ハムでは帰塁の際に手から戻らないといった決め事があり、足から戻るためにリードを小さくしなければいけなかったようです。ファイターズは大谷をあくまで投手を軸とした二刀流で育てていましたから、手指を守るためにはやむない保護策でした。メジャーではチームに守ってもらわなくても、自分で自分を守ることが30歳の大谷にはできるようになっています。

そのことを感じさせられたのが先日のホームランダービー辞退でした。自分が出場すれば大いに盛り上がることは重々承知の上でも、いわば余興の場でシーズンに影響が出るようなことは絶対に避けなければならない。10年総額7億ドル(約1015億円)という超大型契約に伴う責任を、全うする覚悟の表れと受け止めました。

2連連続本塁打王や3冠王も視野

両リーグにまたがっての2年連続本塁打王に加えて、大谷の照準にはメジャーで10年以上も出ていない三冠王すら入ります。「獲れるタイトルは全部獲ってしまえ」と言わんばかりの貪欲さ。言葉には出さなくても、間違いなく狙っていると思います。皆さんも毎朝の大谷チェック、楽しみましょ! (元日本ハム投手・岩本勉)

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