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ニュース裏表 安積明子 混迷の兵庫県政…斎藤知事が次々とテレビ出演 議会は不信任決議、進退に含み残す真意 辞職しなければ選挙で最大34億円の負担

zakzak by夕刊フジ 2024年9月25日 6時30分

「おとなしく知事の座を手放すつもりはない」

そんな意思表示なのだろうか。「パワハラ」「おねだり」疑惑を受け、兵庫県議会から19日、全会一致による不信任決議を突き付けられた斎藤元彦知事が、テレビ各局に次々と出演している。

地方自治法の規定では、斎藤知事は29日までに辞職しない場合、議会を解散しなければ30日付で自動的に失職する。

解散で県議選を行うと、16億円の選挙費用がかかるといわれる。知事選にも18億円の選挙費用がかかるが、辞職するか失職するかで、新知事の任期も変わる。辞職なら新知事の任期は2025年7月までと1年に満たないが、失職なら任期は4年となる。

県民に最も大きな負担がかかるのは、斎藤知事が辞職せずに議会を解散し、新たな県議会が知事に対して再度の不信任決議案を可決する場合だ。選挙が別々に行われるため費用は約34億円にものぼる。

その場合、斎藤知事には再度の不信任案が可決されて失職するまでの報酬と退職金、さらにボーナスも支払われることになる。その金額はすぐさま辞職する場合と比べ、300万円以上も多くなる。

知事公用車をセンチュリーからアルファードに変更したことを「功績」に掲げる斎藤知事だから、さすがにこれはないだろう。しかし、テレビでの露出を考えると、おとなしく知事の座を去るとも思えない。

例えば、21日朝の民放番組では、「県民の皆さんの思いやご批判のある一方で、しっかりやってほしいという声もあるから、そこを踏まえて」と含みを残した。

その頭には〝先例〟があるのかもしれない。02年に長野県議会から不信任を受け失職し、出直し選挙で当選した田中康夫元知事の例だ。

だが、田中氏のケースは、全ダム事業中止を打ち出した「脱ダム宣言」の是非をめぐる「政策上の問題」だった。斎藤知事の場合、発端はパワハラ問題で、専門家から公益通報制度上の違法性も指摘されている。県庁に延べ1万5000件もの苦情が寄せられるほど県民の怒りは激しい。

出直し選挙に出馬しても、一体誰が応援してくれるのか。前回知事選で、資金面を含めて応援したとされる自民党は斎藤知事を見放している。

ある自民党関係者は「斎藤知事に『再就職の世話をするので、辞職してほしい』と働きかけたが、断られた」と明かす。これは〝退路〟を断った、ということか。民放番組では「自分としての人生もある」とも述べた斎藤知事。未来にどんな展望を描いているのか。 (政治ジャーナリスト)

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