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ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか! 岸田執行部の思惑がにじむ自民党総裁選 鈴木青年局長の「選挙期間拡大提言」も「選挙管理委員の人選」も…首相に都合の良いものに

zakzak by夕刊フジ 2024年8月7日 6時30分

パリ五輪や米大統領選、きな臭い中東情勢、日銀の利上げなど、ニュース盛りだくさんのなか、政局については陰に隠れています。しかし、静かに自民党総裁選は動き始めていて、平時ならば大騒ぎになるようなニュースが見過ごされていたりしています。

自民党青年局の鈴木貴子局長らが先週1日(木曜)、岸田文雄首相(総裁)と官邸で面会し、9月の総裁選の選挙期間を可能な限り長く確保するよう求める提言を行いました。首相は「十分な期間を確保すべきだ」と応じたそうです。

青年局から党総裁へ提言を上げるのはよくある話ですが、問題はタイミングです。提言提出の翌週5日(月曜)、総裁選の選挙管理委員会の初会合が行われました。

岸田首相が次の総裁選に出馬しないのであれば、中立の立場であり、選挙の進め方についての提言を出すことも筋が通ります。しかし、首相は再選出馬する可能性が十分あるので、提言を出す相手としては中立とは言えません。提出するなら選挙管理委員長の逢沢一郎氏が筋のはずです。

そのうえ、支持率が低迷する岸田首相としては、メディアの露出が増えるだけでなく、国会と違って野党から攻められない総裁選の期間が長くなるのは好都合です。総裁選の日程は9月下旬といわれ、選挙期間は国連総会で各国の代表が演説する時期と重なります。

つまり、岸田首相は海外にいて選挙活動が制限されますから、選挙期間が長くなるのは外交日程を考えても首相に好都合です。自分に都合の良い提言ですから、首相は喜んで受け取るわけです。

一方、その総裁選の選挙管理委員会の顔ぶれも、物議を醸しています。

選挙管理委員は「公平中立」を旨としますから、総裁候補の推薦人に名を連ねることはできません。その趣旨から、選挙活動を支援するのも難しくなります。

かつては各派閥から人を出し合って有利不利がないようにしていましたが、今回は派閥がほぼ無くなって初めての総裁選です。どういった顔ぶれかは、総裁選の性格、対外的な見え方まで左右する重要なものですが、蓋を開けてみると旧岸田派の人間が一人もいません。

無所属扱いながら谷垣グループ(有隣会)が多く、「岸田派のようなものだ」という指摘もありますが、前回総裁選時の行動を見ると谷垣グループ=岸田首相支持と言うのは無理があるでしょう。これでは若手の候補や無派閥の候補などが推薦人を確保するのに不利になりかねません。

冒頭の提言提出後、鈴木局長は記者団に「今回の総裁選は、まさに党の命運がかかった最後のチャンスという危機感を持っている」と述べました。最後のチャンスならば「公正な選挙」が大前提と思うのですが、すでに「現執行部の思惑」が混じっているようにも見えます。

■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!Cozy up!」(月~金曜朝6―8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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