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2024年・秋 衆院選 〝落選危機〟与野党の大物21人 衆院選公示、旧統一教会問題や週刊誌報道…4閣僚に厳しい戦い 自民は40~50議席減らす可能性

zakzak by夕刊フジ 2024年10月15日 11時39分

政治評論家の小林吉弥氏が解説

石破茂政権で初となる衆院選が15日、公示され、27日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まった。自民党派閥の裏金事件を受けた「政治とカネ」問題に加え、物価高対策を含む経済政策、中国による軍事的覇権拡大が進むなかでの外交・安全保障政策などが重要な争点となる。衆院選では選挙区289、11ブロックの比例代表176の計465議席を争うが、小選挙区では石破政権の現職閣僚をはじめ、党要職などを歴任した与野党の大物候補が崖っぷちの戦いを強いられている。夕刊フジは、情勢調査や取材をもとに、「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」を作成、政治評論家の小林吉弥氏が解説した。

「状況が極めて厳しいということは肌にしみてよく分かっている。われわれは自民、公明で何としても過半数を取りたいというふうに思っている。そこから1つでも上積みできるように、誠心誠意全力で尽くしていく」

石破首相(自民党総裁)は12日、日本記者クラブ主催の党首討論会で、衆院選の目標をこう掲げた。

最大野党・立憲民主党の野田佳彦代表は「最低限目標にしなければいけないというのは自公の過半数割れ。そして比較第一党になるということなので、そういう結果が出せるように全力を尽くしていきたい」と語った。

討論会には、公明党の石井啓一代表や、日本維新の会の馬場伸幸代表、共産党の田村智子委員長、国民民主党の玉木雄一郎代表、れいわ新選組の山本太郎代表も出席した。

夕刊フジが作成した「落選危機リスト」は表の通り。あくまで選挙区での情勢で、比例復活は含まない。石破政権の現職閣僚や元閣僚、党幹部、野党でも閣僚経験者など大物・著名候補がズラリと並んでいる。

まず、石破政権の現閣僚では、牧原秀樹法相、坂井学国家公安委員長、伊藤忠彦復興相、小里泰弘農水相の4人が厳しい戦いを余儀なくされそうだ。なかでも、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連のイベントに、自身や秘書が計37回出席していたことが明らかになった牧原氏と、過去に週刊誌報道があった小里氏は選挙戦で逆風にさらされるという。

小林氏は「牧原氏は2021年の前回衆院選で、立民の枝野幸男元代表を約6000票差まで追い込んだ。今回は雪辱を狙っていたが、旧統一教会の問題が大きくのしかかり、枝野氏は党代表選にも出て名前を売った。厳しい戦いとならざるを得ないだろう。小里氏は前回、立民の野間健氏に約1万5000票差をつけられたことから考えると、野間氏をしのぐことは厳しいのではないか」とみる。

要職を経験した自民党の大物では、甘利明元幹事長、衛藤征士郎元衆院副議長らが苦戦を強いられている。

前回の衆院選で甘利氏は小選挙区で敗れて比例復活を余儀なくされ、衛藤氏はわずか654票差という薄氷の勝利だった。

小林氏、自民は40~50議席減らす可能性も

小林氏は「甘利氏はこれまでの神奈川13区から神奈川20区に選挙区が変わるが、過去の金銭授受問題を引きずっている。(同選挙区の)立民の大塚小百合氏は40代で、『刷新感』がある。風は女性のほうに有利に働くとみている。甘利氏にとって苦戦になるのは間違いない。衛藤氏は前回は辛勝したが、立民の吉川元氏には勢いがある。どちらにひっくり返るか分からない大接戦となるだろう」と解説する。

野党に目を移せば、東京1区では、立民の海江田万里前衆院副議長と、参院からくら替え出馬した維新の音喜多駿政調会長が激突する。前回選挙区で勝利した自民の山田美樹元環境副大臣も加わる大激戦はどうなりそうか。

小林氏は「音喜多氏は弁舌がさわやかで、維新の目玉候補の一人だが、東京1区は初めてで有権者がどのような反応をするか見えてこない部分もある。ベテランの海江田氏とどちらが勝ってもおかしくない。山田氏は公明の推薦をもらえることが決まったものの、裏金問題の余波を受けて少し苦しいとみる」と話す。

自民党の派閥裏金事件を受けて「非公認」となった候補では、東京を選挙区とする下村博文元文科相と萩生田光一元政調会長の2人は厳しい戦いが予想される。

衆院選全体ではどうなりそうか。小林氏は現時点での見通しをこう語った。

「公明が公示直前に、不記載議員も含めて自民候補の推薦を増やした。野党の候補一本化が進まず乱立していることからすると、自民は40~50議席ぐらい減らす可能性はあり、単独過半数は厳しいが、公明の獲得議席数を足せば過半数の233議席を守れるのではないかとみている」

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