東京・渋谷のヒューマントラストシネマで12月8日から「カンヌ監督週間 in Tokio 2024」が開催される。昨年、アジア諸国で初めて開催された第1回が好評だったため、今年も開催することになった。19日までの12日間。
ソフィア・コッポラ、スパイク・リー、グザヴィエ・ドラン、大島渚、黒沢清といった名監督を見いだしてきた唯一無二のセレクションとして知られ、今回も最新のラインアップを日本国内でいち早く見られる貴重な機会となっている。映像産業振興機構(VIPO)がセレクトしただけあって見るものの心を打つものばかり。映画ファンだけでなく、これから映像産業に飛び込もうと考えている人にも見てほしい最前線の映画ばかりだ。
昨年急逝したソフィー・フィリエール監督の遺作「これが私の人生」ではアニエス・ジャウイが主演して中年の危機や不安を微妙に描く。監督が急死したため、遺族が撮影を続行して完成にこぎつけた。
「ナミビアの砂漠」は山中瑤子監督。新鮮な感性がまるでベテランのような域に達しているとして、20代で監督週間入りした秀作。誰にも当てはまる現代社会の縮図を描き出している。
「ゲイザー」はアメリカのライアン・J・スローン監督作。かつて流行したパラノイア・スリラーへのオマージュというべき作品で、電気技師から転身した監督が低予算で手掛けた1作目というから驚かされる。
他にも久野遥子、山下敦弘両監督の「化け猫あんずちゃん」、ホナス・トルエバ監督の「ジ・アザー・ウェイ・アイランド」など11作品が上映される。 (望月苑巳)