プロ野球で26年ぶりの日本一を決めた横浜DeNAベイスターズとは裏腹に、サッカーJ1横浜F・マリノスが情けない。残り4試合となったリーグ戦は15位で、いまだにJ1残留を決められない上に、DeNAの下克上が決まった3日に〝禁断の補強〟が強行された。
J1浦和で2019年から今年4月まで強化担当で同6月に退任した西野努氏(53)が、来季からスポーティングダイレクター(SD)に就任することを正式発表。当初は7月にも横浜のSDに就任する予定だったが、浦和時代に目に見える成果を挙げられなかった西野氏の就任に横浜のクラブ内で〝猛反発〟が起きていた。
そこで横浜フロントは西野新SDを業務提携先のシティフットボールグループ(CFG)に在籍させガス抜きを図り、このほど正式契約を結んだ形だ。今回の就任劇に奔走した横浜・中山昭宏社長(57)は「戦略的なチーム強化体制とCFGと更なる連携を目指し、西野努氏とともに推進してまいります」とコメントしたが、両者の蜜月ぶりは他のJクラブでも話題になっている。
Jクラブの強化担当は本来ならシーズン後に発表されることが多く、前倒しの就任でハッチンソン監督(44)の今季限りでの退任が決定的。西野新SDは浦和時代と同じく「欧州路線」でチーム強化を図るため19、22年のリーグ優勝の立役者FWアンデルソンロペス(31)らブラジル人助っ人は全員退団する見込みだ。
「ブラジル路線」から「欧州路線」に切り替えて失敗するようなことがあれば、名門マリノスのJ2降格が現実味を帯び空中分解の危機に陥りそうだ。 (久保武司)