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ニュース裏表 有元隆志 自民総裁選 石破、小泉、高市の3氏が〝軸〟 告示後の論戦で情勢変化も 過去には石原伸晃氏が「福島原発の第1サティアン」発言で失速

zakzak by夕刊フジ 2024年9月13日 6時30分

12日告示の自民党総裁選(27日投開票)は、立候補者9人とこれまでにない乱立となった。多くの派閥の解消により、派閥が担ってきた事実上の「予備選」がなくなったことも要因として挙げられる。

ある調査会社が8日に行った党員・党友に対する最新調査によると、石破茂元幹事長(67)と、小泉進次郎元環境相(43)が上位を占めた。次いで高市早苗経済安保相(63)が追っており、選挙戦はこの3人を軸に展開されそうだ。

調査によると、石破氏34・9%、小泉氏23・2%、高市氏15・9%だった。8月22日の前回調査で、10・4%と2ケタに達した小林鷹之前経済安保相(49)は5・5%と伸び悩んでいる。河野太郎デジタル相(61)は3・6%と7位に低迷している。

この数字をもとに、1回目の投票で党所属国会議員と同数の総党員算定票(367票)をドント方式で配分すると、石破氏130、小泉氏87、高市氏59、上川陽子外相(71)26、小林氏20、林芳正官房長官(63)20、河野氏10、茂木敏充幹事長(68)8、加藤勝信元官房長官(68)7となった。

8日の段階では、高市氏と加藤氏、上川氏は出馬表明をしていないうえ、告示後の論戦で情勢が変わってくる可能性もある。過去にも2012年の総裁選で、石原伸晃元幹事長が東京電力福島第1原発で汚染された土壌の保管場所について、「福島原発の第1サティアン」と発言した。「サティアン」はオウム真理教が教団関連施設の呼称に使用したことから「不謹慎だ」との批判を浴びて失速したことがある。

党員調査では、石破氏が1位を続けている。8月22日の調査でも36・4%だった。複数の自民党議員に石破氏の人気が高い理由を聞くと、「党員には判官びいきのような感情がある」という。石破氏は過去4回総裁選に挑み、負け続けてきたからだ。

石破氏は地方をくまなく回っており知名度も高い。「党内野党」的な位置づけだったのでメディアの批判にさらされてこなかった利点もある。

ただ、国会議員の間では「後ろから鉄砲を撃つような言動」に対する評判が悪く、支持が広がらない。今回も推薦人集めに苦労した。石破氏が上位2人に残っても、決選投票では12年同様に敗れると予想する議員は少なくない。

小泉氏は6日の出馬会見で、父親の純一郎元首相譲りの歯切れの良さを見せたが、「1年以内に実現する」と明言した「聖域なき規制改革」の柱として「解雇規制の緩和」を挙げた。

ある閣僚経験者は「進次郎氏の尊敬する人物はジョン・F・ケネディ元米大統領らしいが、『解雇』を打ち出すなんて、JFKの有人月面着陸構想のような夢がある政策とは大違いだ」と批判する。

高市氏は、小泉氏が目指す選択的夫婦別姓について、「(小泉氏は旧姓で)不動産登記ができないと答えた人がいたが、できる。正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」と皮肉った。

有権者は党員党友に限られているが、イメージだけでなく政策の中身で新総裁を選んでほしい。 (産経新聞特別記者・有元隆志)

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