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テレビ用語の基礎知識 フワちゃん、中丸雄一「倫理消しゴム」がテレビをつまらなくした? 業界は身内に甘く出演者に厳しい「変な人の吹きだまり」ナゾの世界

zakzak by夕刊フジ 2024年8月15日 15時30分

フワちゃんの記事が非常に多くて驚いてます。SNSでやす子さんに対して「言ってはいけない暴言」を発したということで、スマホの写真の「消しゴム機能」のCMが非公開になり、レギュラーラジオも降板となる中、直接やす子さんに謝罪しましたが、事態は収束せず、フワちゃんが芸能活動の休止を発表することになってしまいました。

そしてこちらも活動休止ですが、KAT―TUNの中丸雄一さんもしばらくテレビから姿を消しそうです。なんだか本当に、見慣れた出演者がすぐに姿を消す時代になりましたよね。まるでテレビが「倫理的に問題のある人物をこの世から消す消しゴム」になったようです。

そう考えると、なんだか怖いし、「気をつけないと自分も消されてしまうかもしれない」と思いながら、おっかなびっくりテレビに出演する人たちが、そんなに面白いことなんてできるわけがありませんから、テレビがつまんなくなったのは「倫理消しゴムになってしまったから」とも言えるかもしれませんね。

まあ「世間が許さない」とか「スポンサーが許さない」というので、テレビから人が姿を消すのだと思うのですけど、謝って反省したら、事と次第によってはもう少し許してあげてほしいと個人的には思いますし、問題があるとすぐに消されるような風潮の世の中は息苦しいですよね。

しかもテレビってそんなに高尚なものなの? とも思ってしまいます。

この前、あるテレビマンがこんなことを言っていました。「私はテレビを見るのが好きでこの業界にいますが、ひょっとするとテレビよりも〝テレビを作る人〟を見るのが好きなのかもしれません」…。なるほど! と思いました。

テレビ業界って本当に「変な人の吹きだまり」ではないか、と思います。面白い番組を作るディレクターなんかはだいたい変人奇人の類の人が多く、人格が破綻していて、普通の世の中ではとてもまともに生きていけなさそうな人でも、なんとか生きていけるのがテレビ業界の魅力です。

そういうテレビ業界のうさん臭さが「好き」だということを「テレビを作る人を見るのが好き」という言葉で言い表しているのだと思うんですね。

金をごまかした人も普通に許されたり、ヤラセの中心人物も平然と仕事を続けていたり、セクハラしたプロデューサーが出世したりします。テレビ業界は「中の人には甘いのに、出演者には厳しい」という、本当にナゾな世界なんですよね。

もう少し出演者にもチャンスをあげられるテレビ業界に、いや日本社会になるといいなと思います。

■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。

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