石破茂首相(自民党総裁)は1日、政権発足1カ月を迎えた。戦後では内閣発足後最短の8日で衆院解散に打って出たが、選挙戦略はことごとく失敗し、自ら勝敗ラインに設定した「自公与党で過半数」を割り込む大惨敗を喫した。これまで、歴代首相を激しく批判しておきながら、「国民の審判」を無視して「権力居座り」を決め込む石破首相に対し、党内外から批判が噴出している。
「衆院選において大変、厳しい結果をちょうだいした。厳粛に受け止めなければならない」「示された民意を厳粛、謙虚に受け止め丁寧に政権運営にあたっていく」
石破首相は1日、記者団にこう語ったが、民意は「石破首相ノー」なのだから、これほどのペテンはない。
自民党ベテラン議員は「これまで、政治家の『責任』にこだわってき石破首相はどこに行った。自公過半数を勝敗ラインに設定した衆院選で惨敗したのに責任をとる気配さえない」と断じる。
石破首相はむしろ「政権居座り」に意欲を強めている。
今月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせ、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席らとの首脳会談を調整しているという。
ある保守系議員は「バイデン氏も習氏も、『国民の負託』を得られなかった石破首相と真剣な話をしようと思うだろうか。ガバナンスが崩壊した政権に内政・外交を委ねれば、次は日本が壊れる」と批判する。
ただ、権力にしがみつくトップを交代させるのは簡単ではない。
特別国会の首相指名選挙で、国民民主党は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に票を投じる方針のため、野党の票は分散し、石破首相が多数を獲得しそうな情勢だ。
政治評論家の有馬晴海氏は「国民が石破首相に『ノー』を突き付けた。本来なら退陣待ったなしだ。小泉進次郎選対委員長だけが辞任して、石破首相と森山裕幹事長が続投するなどガバナンスも崩壊している。ただ、石破首相に反発する党内勢力も党が弱り切ったなかで『石破おろし』に尻込みしている。石破首相は『低姿勢』『反省』を示し、何とか成果を示そうと必死なのだろう」と指摘した。