東京地下鉄が11月25日に終値で前日比58円高と10月のIPO(新規上場)以来最大の値上がり幅を見て上場来高値を更新した。
手掛かりとなったのは、IPOから1カ月を経過して11月25日付で証券会社から出た投資判断(レーティング)リポートだ。国内大手証券は投資判断「中立」で目標株価を1600円とした一方、有力外資系証券は投資判断「買い」で目標株価を2200円に設定したことが伝えられた。「買い(強気)」と「中立」に分かれたものの、株価を刺激したことは確かで、手掛かりを求めていた東京地下鉄の株価は、上値を慕う展開となっている。
既上場の他市場取引所に上場するケースを除き、12月は18銘柄のIPOが集中するラッシュシーズンに突入する。半導体大手キオクシアのように、東証プライムに直接上場する超大型IPO案件も控えている。なお、17日に上場予定だったファイントゥデイホールディングスは、2日に上場承認取り消しとなった。
全体相場には需給の圧迫要因となる一方、IPOに絡んだ話題が高まり、直近IPO銘柄の見直しにも目が向くことにもなる。
今年7月23日に公開価格990円、初値1213円で東証スタンダードにデビューした「フィットイージー」(212A)が、IPOの出世株として存在感を高めそうだ。株価は8月に全体相場の下落から700円の最安値を付けるも、ここから上昇トレンドに移行。月間では8月から11月まで4カ月連続で上昇を継続して1900円台と、上場来の高値を更新し続けている。
初値からの最高値までの上昇率は約58%にとどまっているが、過熱感なき上げトレンドを持続していることが好感できる。
フィットイージーは、FC(フランチャイズ)と24時間営業体制を主体にアミューズメントフィットネスクラブの運営、企画を手掛ける企業。デザイン性の高いスタジオにサウナや酸素ルーム、セルフエステ、投球測定分析機器設置の野球やテニス、サッカー、ボルダリングのスポーツルーム、プロドライバー監修のレーシングマシン設置ルームなどを併設し、アミューズメント性に特徴を持つことで同業他社との差別化を果たしている。
月次情報を月初に発表しており、今期のスタートから10月までの会員数は、前年同月比で毎月40%超から50%超の会員増で、10月末時点で14万8000人、店舗数は10月末で179店舗。全国展開されているが、東海エリアが108店舗と中心で関東は20店舗、関西は5店舗と出店余地が大きく残っていることが、今後の成長を促している。
9月に上方修正された集計中の24年10月期業績予想は、売上高65億円(前期比45%増)、営業利益15億9000万円(同42・8%増)で初配当は20円。13日の本決算発表を控え、今期の高成長を評価する動きが加速しそうだ。
■ザ・覆面(ざ・ふくめん) 金融業界では知る人ぞ知るベテラン。株式の分析と着眼点の鋭さに定評がある。名を出せばハレーションが大きいため、覆面で参戦。