国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神の主砲・大山悠輔内野手(29)は5年総額17億円プラス出来高払いで残留を決めた。
獲得を目指していた宿敵巨人の6年総額24億円よりも低い条件で再びタテジマに袖を通すことを決断した大山は「決めた以上は相当な覚悟を持たないと。(阪神は)大変なことも多いが、それを経験できるのも当たり前じゃない。全てプラスにしたい」と宣言。就任1年目の藤川球児監督は「彼の存在は大きい。残ることが幸せだと判断したんじゃないか」と歓迎したが、OBの目には今回の残留はどう映っているのか。
新OB会長の掛布雅之氏が「彼が4番として全ての試合に出るくらいの気持ちを持ってチームを引っ張ってくれたら」とさらなる期待を寄せたように大半は好意的。「たくさん出来高も付いたのだろうから心機一転、張り切るはず。本塁打を増やすというよりタイトルを取れるほどの打点を稼いでほしい」(あるOB)など期待値は高まっている。
しかし、一方ではこんな手厳しい指摘も…。別のOBは「阪神はこのところ、複数年契約を結んだ選手が満足な結果を残せていない傾向がある。大山は日本一になった昨年がピークだったかも。球団が残留させたい方針は理解しているが、3年ならともかく、5年は長いのでは…」と心配する。「球界を見渡してもソフトバンクの柳田も長期契約して故障…。大山の(持病の)膝の問題とか、今後の年齢的なことも考えるとその危険がないとも限らない」と不安視。確かに複数年契約を締結している梅野や西勇輝の数字は落ちるなど、過去の成功例も少ない。
しかし、この手の指摘も熟考の末に阪神残留を決意した大山にすれば百も承知だろう。来季4番の座を巡っては成長株の森下や佐藤輝との競争にもなるだろうが、V奪回最大の原動力になってもらいたい。 (岩﨑正範)