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ぴいぷる 歌手・島谷ひとみ 何色にも染まらない〝裸の表現者〟 鬼ヒットした代表曲『亜麻色の髪の乙女』は「長年連れ添った夫婦」

zakzak by夕刊フジ 2024年7月18日 6時30分

――デビュー25周年

取材前に立ち寄った大手町のカフェで、若い女性客たちが「見てます!」と色めきたった。

「鬼レンチャン効果が絶大で」と、少しはにかんだ。代表曲「亜麻色の髪の乙女」が大ヒットしたのは2002年。その頃、幼かった子も「千鳥の鬼レンチャン」(フジテレビ系)で、楽譜と寸分違わずサビを歌おうとカラオケで格闘する彼女の姿をよく知っている。

「音楽バラエティーなので、千鳥のお二人にいじっていただいていますが、やることはガチで、カラオケの機械が〝正解〟なんです。いくら(オリジナルの)私たちが正解といっても評価されなくて本当に大変です」

YouTubeチャンネル「島谷ひとみの島谷・製作所」を見ると、番組出演の前にカラオケボックスで特訓する姿も。

「3時間歌っていると喉を痛めちゃいますね。デビューして25年になろうというタイミングで、必死に歌の練習するって、なかなかない機会ですし、楽しんでいます。いろんな町で『鬼レンチャン』を話題にすると、わーっと反応してくださるのはありがたいです」

幼い頃から歌好きで、16歳のときカセットテープをカラオケ好きの叔母が「ルックルックこんにちは」(日本テレビ系)の「女ののど自慢~女子高生大会」に応募したのが初のテレビ出演。高校時代に応募した「第1回 THE JAPAN AUDITION」歌手部門で約20万人の中から合格、歌手デビューのきっかけをつかんだ。

「学校も協力的で、就職活動の一環として、広島から東京まで遠距離レッスンが認められ、ちゃんと卒業できました。ダンスやボイストレーニングを経て、いざデビューとなったら演歌。えっ!となりましたが夢がかなうなら、がんばろうと」

演歌からポップス、ダンスナンバーとジャンルを問わず歌いこなし、オールジャンルで聴かせる後の〝島谷スタイル〟の肥やしとなった。ヴィレッジ・シンガーズの「亜麻色の髪の乙女」をカバーしたのはデビュー7曲目。21歳になっていた。

「(モデル出演した)シャンプーのCMソングで反響をいただき、CD化でスタッフと頭を悩ましました。何十種類かのバージョンのうち、静かに始まり、リズムの変化や転調がある一番斬新だったのが今の形です」

カラオケチャートで新記録の18週連続1位、カバーブームの先駆けとなり、この年からNHK紅白歌合戦に4年連続で出場。あまりの〝鬼ヒット〟に、新曲を出しても「亜麻色―」を求められ、感覚がおかしくなったこともあるという。

「20代半ばで倦怠期がありました。無意識で歌っていて、これでいいのかと悩んだり。でも、いまはもう長年連れ添った夫婦というかパートナー。大切な曲です」

実はこの取材の直後、私生活での〝パートナー〟の存在が週刊誌で報じられた。彼女の周辺は、「結婚については非公表」としている。歌の世界では何者にも染まらないということらしい。

――作詞作曲で希望

40代で事務所を独立。歌い手として心境に変化があった。

「それまで作詞、作曲のプロフェッショナルが書いたものを表現者として歌ってきました。それがコロナ禍でライブができず、楽曲制作をする中で、もっと自分を立体的に伝えたいという意欲がどんどんわいて。メロディーと歌詞で自分を裸にすることが恥ずかしかったのですが、曲づくりをするようになって、いつかライブをしようと希望になりました。1人では生きられないとみなさん実感したと思います。明日起きてから考えよう、明日も生きてみよう。そんな気持ちになる歌は、ワクチンより効果があるんじゃないかと」

昨年11月、同郷のシンガー・ソングライター、HIPPYと意気投合し、新しい形の音楽フェス「PEACE STOCK 79'」を立ち上げた。初開催の広島で、いきなり約1万人動員した。

「『君に捧げる応援歌』が応援ソングとしてバズっているHIPPYさんは、原爆の語り部の伝承事業にも取り組んできました。草木も生えないといわれた町で、おじいちゃんおばあちゃんたちが明るく伝えてくれたから今がある。この時間に感謝して〝平和の備蓄〟のためのフェス『PEACE STOCK 79'』を東京でも開催します」

戦後79年を意味する数字で、年々カウントアップしていく。

「歌手活動の20年から25年は自分を肥やすことができました。25年から30年は自分の描きたいことを具現化していこうと思います」

(ペン・中本裕己 カメラ・安元雄太)

27、28日に「25周年特別公演」開催

■島谷ひとみ(しまたに・ひとみ) 歌手。1980年9月4日生まれ、43歳。広島県呉市出身。1999年7月、「紳助の人間マンダラ」(関西テレビ)の企画で島田紳助プロデュースの演歌「大阪の女」でCDデビュー。以後、ポップス、ロック、ボサノバなど幅広いジャンルをこなし、「亜麻色の髪の乙女」「Perseusu―ペルセウス―」「パピヨン―papillon―」「元気を出して」などのヒットを含め累計リリース楽曲は200曲を超える。23年12月24日、HIPPY&HITOMIとしてシングル「PEACE STOCK」をリリース。

島谷ひとみ25周年特別公演を、7月27日、28日東京・品川きゅりあん大ホールで開催する。

そして、8月17日と18日には、東京・お台場R地区特設会場で音楽フェス「PEACE STOCK79’ TOKYO2024」を開く。

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